Site.M from 新所沢

"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

ワクチン債の意義について

南アフリカランド建てのワクチン債がネット証券などで販売されています。

既に色々なブログでも紹介されていますが、だいたいの場合、わざわざワクチン債を買わなくても個人で寄付すればいいんじゃない?というような内容です。

南アフリカ ランド建てという事、金利的にも年率6.85%ととりたてて魅力的な水準ではない事などから単なる金融商品として見た場合に僕も購入する気にはならない商品です。

でも、このワクチン債の意義についてだけ補足説明させてください。

ワクチン債を購入したからといってそれが寄付になるわけではなく、利息や元本については世界各国から20年かけて拠出される資金を使って購入者へ返済されます。

あくまでも20年先までの収入計画を見越して今すぐ必要なお金を市場から借りてしまおうという仕組みです。

それをもって、じゃあ自分で寄付した方がと考えがちですが、まとまったお金をワクチンに向けて集めるというのはそれはそれで意義があります。

アフリカ地域を中心としてワクチン接種ができない為に命を落としている子供達も数多くいるわけで、20年かけて地道にワクチン接種をすすめるよりも、早いうちにできるだけ大規模でワクチン接種を行った方が将来的に見ても効果的です。

寄付などにより集まった資金に応じた小規模なプロジェクトが行うワクチン接種よりも大きな効果が見込めます。

(もちろん小規模なプロジェクトにもそれぞれメリットがあります)

ビル・ゲイツの財団はまさにそういったできるだけ効果的に社会貢献プロジェクトを実行するという意味で新しいタイプの財団です。

(このプロジェクトにも関わっているようです)

ちなみにこのプロジェクトでは25%の資金が新規や十分に利用されていないワクチンに対する支援に向けられており、例えば先進国では流行していないために製薬会社が開発に前向きでない疫病に対するワクチン開発の支援などにも使われています。

特に、この新規ワクチン開発に対する支援というのは個人で寄付できる分野ではないだけに(通常は既存のワクチンの接種に対する支援が一般的です)重要な意味を持ちます。

そんな訳で、単純に個人でNGOに寄付すればいいやという問題でもないことだけは理解してください。

ただ、金融商品としては個人的にもお薦めできるものではないので、もっと別の、例えば米ドル建てなど買ってもいいなと思える債券が日本向けに発行されるまでは個人的な寄付の方がいいと思いますが。

ちなみに、個人的に寄付を行う場合、ユニセフではまさにワクチン接種の支援を指定する寄付制度があります。

ユニセフ支援ギフト(経口ポリオワクチン1セット200回分) 4,000円

ユニセフ支援ギフト(はしかワクチン1セット200回分) 5,300円

ユニセフ支援ギフト(ワクチン保冷箱1セット10個分) 15,500円

こういった寄付をしてみるのもいいのではないでしょうか?