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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

GPIFの運用損に関するニュースについて

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2008年度の市場運用分が-10.03%、金額にして-9兆6,670億円の損失を計上したという事でニュースになっています。

このニュースについてよく見られる反応としては

・年金のような安全第一のお金を株式市場で運用するなんてとんでもない

・自分たちが運用しているわけでもないのに給料が高い

・これだけ巨額の損失を出したのに責任をとらない

なんてのがあります。

でも、実際はそんなにひどい運用をしているわけでもないと個人的には思っています。

そもそも市場で運用するようになったのは財政投融資という名前で国の無駄遣いを増長していたことからの脱却が目的ですし、自分たちが直接運用しないというのもかえって合理的です。(92兆円ものお金を自前で運用しようとしたらかえってコストがかかります)

専門家にまかせているといっても、十分に信託報酬が低い状態で運用をまかせていますし、さらに、その多くはインデックス運用です。

バクチマネーと同じだとは呼べません。

また、責任問題についても年金運用は長期的にリターンを評価すべきもので単年度で約10兆円の損失を出したから問題だ!と騒ぎ立てる性質ではありません。10兆円ときくとかなりの大金に感じますが、運用しているパイから比較したら10%程度。

この程度の損失は市場で運用している以上は避けられません。

それに、運用先の約2/3は国債で運用されており、知らない人が騒ぎ立てているほど株の比率が高いわけでもありません。

完全に国債のみで運用しても株式市場が好調な時には逆に債券価格は下がるので運用損は発生することになるのですが、そういった仕組みも知らないで騒いでいるだけです。

かといって現金で黙って持っているだけでは今の年金受給世代は良くても将来年金を受け取る事になる世代にとっては年金の負担が増える一方でそれもまた困ります。

期待リターンの値などに個人的に?なところもありますが、カルパースのようなイケイケな運用と比較するとかなり保守的な面白みの無い運用をしていると思いますよ。(カルパースなどと一緒に批判する人もいますけど)

実際のところこういう短期でギャーギャーいう人がいるから年金基金が目先の利益重視に舵を切ってしまい、バブルが発生したとも言えるんですけれどもね。