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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

夏の光@田村優之

先日のインデックス投資ナイトで日経新聞社の田村正之さんが自分の本紹介という事で取り上げていた「夏の光」を読みました。

国債アナリストの修一が日本の将来を考えて長期国債の発行を抑え、短期国債を増発するという方針に立ち向かうという現代の話と高校時代の話がクロスしながらストーリーは進みます。

表紙の絵も爽やかなのですが、文体も同じように爽やかで一気に読み終えました。

債券と金利のメカニズムなどはさすがに新聞記者だけあって詳しく書いていますが、決して説明臭くなくあくまでも小説の文章としてまとまっているのが秀逸です。

主な登場人物は主人公の修一と親友の有賀、そして修一の彼女の純子の3人。

高校三年の夏休みに起きた悲劇が裏にありつつ、表では国債発行に絡む経済的な話という、普通に考えたら絶対マッチしない両者がなぜかマッチしているのがこの小説の不思議なところ。

最後にあの夏の悲劇の真実が明かされるのですが、「そうか・・・」とちょっと心が重くなりますが、有賀の想いに感動します。

大人の世界の黒い部分と高校時代の綺麗な部分がうまく混ぜ合わさって、爽やかな読み心地で最後に感動させられました。

田村さんの、あの酔っ払った姿からは想像できない綺麗な文体で、おすすめです。