運用のプロが教える草食系投資
セゾン投信の中野さん、コモンズ投信の渋澤さん、レオス・キャピタルワークスの藤野さんの共著による草食系投資のススメです。
直販投信を既に買っている人にとってはファンブックという意味でも読み応えがありますが、投資をこれまでしたことの無い人でも三人の会話を聞いているような構成になっていて読み進めやすいと思います。(むしろそういう方にこそ読んで欲しい本です)
具体的に商品の購入方法や口座開設方法などは書かれていませんが、投資は怖い、損をするという考え方が変わるのではないでしょうか?
草食系投資とは何か?というと、キーワードは
「ゆっくり」「共存共栄」「コツコツ」「争わない」
対する肉食系投資のキーワードは
「弱肉強食」「短期志向」「レバレッジ」「ゼロサムゲーム」
サラリーマンが本業に精を出しつつ、資産形成の一助として投資を行うのであれば「草食系投資」が向いているんじゃないか?という内容になっています。
瞬間瞬間で他人を出しぬいて儲けようとすると大変な労力が必要ですが、市場にお金を投じることで市場を成長させ、大きくなったパイの分け前をもらうという共存共栄の考え方(草食系投資)であればストレスなく投資が行えると思います。
本書の半分ほどはお三方の鼎談は語り口調という事もあって読みやすく、これから投資を始めようかと思っている人でもスッと読み終えることができるのではないでしょうか?
また、Twitterと連動しているというのがこの本の特徴で、感想などをTwitterでつぶやくと著者の方々と交流することもできるという読んでオシマイにしていないのが面白い試みです。(ハッシュタグは #ssk104 )
1章は投資に対する誤解を解くQ&Aのコーナー。
Q&A形式の本もいくつか見かけますが、やはり文章が会話で成り立っているというのが読みやすさに現れています。一般的にはなにやら難しい回答が出てくるような質問にもわかりやすい説明がなされています。
2章は既存の投資信託の業界ウラ事情のコーナー。
なぜ投資信託を買っても儲からないのか?投信の構造的な問題をハッキリと書いています。
既存投信を売って新商品へ乗り換える営業がまかり通る既存の投信販売では、運用サイドとしても設定時にお金が集中し、あとは解約続きという事では運用にかなり制限が入ってしまい腕を存分に振るえないという問題もあります。
元祖直販投信のさわかみファンドについてもふれているのですが、さわかみファンドは安いところで買いまくる運用手法が目立ったけれども、実はさわかみファンドの好成績を支えたのは何よりも良好なキャッシュフローと書かれています。
投資家が運用会社の理念に共感して投資しているので下げ相場になっても解約が少なく、毎月コツコツと積立によるキャッシュが入ってくるというのが好成績につながったというのです。
そして、投資家と運用者両方にとってメリットのある直販投信モデルの説明があります。
3章はお三方がどのようないきさつで投信会社を興したのかが書かれています。セゾン投信が7年がかりの苦労の末に生まれたことや、アクティブ運用派だと言っている渋澤さんが当初は子どものためにインデックスファンドの積立をしていたという意外な事実、法曹界を目指していたのにいつの間にか運用業界に染まってしまった藤野さんなどドラクエVでいうところの1章から4章で各キャラクターの生い立ちを知るみたいな構成です。
4章がそれぞれの投信会社の運用手法について。
セゾン投信が地球全体の経済成長にのっかる国際分散投資、コモンズ投信は30年目線での投資先企業との対話型投資、レオス・キャピタルワークスは日本株でもしっかり儲けるために現金比率を調整する守りながら増やす投資。
5章で三者三様の運用手法についてまた鼎談形式で語られます。
セゾン投信の中野さんがインデックス派に分類されるのに反論していたのは意外でしたが、組入先ファンド個々はパッシブでも組み合わせに想いを込めているので、れっきとしたアクティブファンドという事でした。
インデックスファンドがアクティブファンドに比べて有利という説に対して株価が右肩上がりの時代には全てが値上がりするのでどうやってもインデックスが有利、ただし株価が平行線をたどる時代にはアクティブが有利で、ピーター・リンチやウォーレン・バフェットといった優れた運用者はこういう時代に稼いだ人達という事でした。
6章は草食系投資で日本を元気にしようというまとめ。
最後に渋澤さんのあとがきがあるのですが、この本を身近な人に紹介して欲しいと書かれています。
そこで、この本をブログ読者の方1名にプレゼント致します。
欲しい方はこちらからお名前(ハンドル可)とメールアドレスを記入の上、プレゼント希望と書いて応募してください。
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当選した方には後ほどこちらから連絡致します。
締め切りは5月14日(金)とさせていただきます。