Site.M from 新所沢

"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

投資信託は運用会社で選べ!

マネックス・ユニバーシティの内藤さんとイボットソン・アソシエイツの小松原さんの共著、投資信託は運用会社で選べ!が期間限定(6/4〜6/17)で全編無料PDF公開されていたので読み終えました。(こちら

目次:

第一章:間違いだらけの投資信託選び

第二章:意外に知らない投資信託の真実

第三章:投資信託選びの新常識

第四章:主要運用会社31社の実績と評価

第五章:データからわかる運用会社の全貌

第六章:運用会社から投資信託を選ぶ

僕自身、投信を選ぶときに投信会社の運用哲学を読みとくのが好きなので、この本はまさにストライクゾーンにビシっと入ってくる本でした。

まず最初に投信を買う時に犯しやすい間違いについて書かれていて、特に間違い7として書かれているこれは多くの人が当てはまるのではないでしょうか?

間違い7 ”製造元”である運用会社を見ていない

個別株から投資の世界に入った自分としては、投資信託を買うにしても組入企業を見るのはもちろん、運用会社もしっかり見ます。

それこそ、個別株で会社を選ぶように運用会社を選びます。

でも、多くの人は投信の表面を見てその運用している会社にまでは注目していないと思います。

確かに現行の目論見書では多くをうかがう事はできませんが、運用を託す相手の事を知ることはとても大事です。

自分が買っている投信でやたらと直販投信が多いのは運用者の顔が見える、話を聞けるというのが大きいと思います。

読んでみた感想としては、文体が固くて論文のような印象を受けました。

そもそも、この本を買うのが投信マニア層と思われるのでいいのかもしれませんが、内藤派の人たちには難しいかも。

たぶん、内容的に1〜2章を内藤さん、3章以後を小松原さんが主に担当したのではないかと思いますが、1〜2章部分はもっと平易な言葉で書いた方が良いと感じました。書いている内容はすごく良いのですが。

でも、これを購入する層を考えるとこれでいいのかもしれませんが、内藤さんの本を買うような人がいきなりこの文体では固いかな?

3章の投資信託選びの新常識で今回の本での評価の考え方について書かれた後、満を持して登場する4章の運用会社評価。

ここはこだわりのデータが満載で投信マニアはニヤニヤしながら見ることになるでしょう。

やたらと設定や償還が多い運用会社、少ないファンド数でもじっくり既存のファンドを運用している会社、イメージと異なり主力商品のカテゴリでレーティングが低い会社などなど、新しい発見が色々あります。

運用会社としての資金流出入状況やファンドマネージャー/アナリストの平均経験年数なども掲載されているのは良い点です。

大手運用会社ほどファンドマネージャー/アナリストの平均経験年数が非公開になっているのがちょっと残念。

eMAXISを出している三菱UFJ投信もそうなんですよね。個人投資家向けにディスクローズを積極的にやっている印象を持っていましたが・・・

アクティブファンド比率について、50%に近いほどアクティブ、パッシブ運用どっちつかずで低評価という評価基準は仕方ないのかもしれませんが、実際問題日本ではパッシブ運用に力を入れている会社ほど50%に近づくという程度なので、そこは少し基準を変えた方がいいかも。

あとは、ファンドごとの設定来年数の平均なども知りたいと思いました。

データを見て思ったこと:

・フィデリティ投信は総合運用会社だけど全てレーティング高め。日本最強かも。

・グロソブの印象が強い国際投信投資顧問だけど、実は外債の評価は低く、日本株が得意。

大和住銀投信投資顧問は思ってた通り地味だけど国内、海外株の運用が得意。資金流入も安定的。

野村アセットマネジメントファンド262本のうち新規設定117本、償還31本で(設定+償還)比率56%は想像以上。

BRICs向けファンドで有名なHSBCは意外に外国株のレーティングが低い

第五章では第四章のデータを元に様々な観点から日本の運用会社を考察していて、これもまた面白いです。

各資産に応じた運用能力の高い運用会社なんかも書かれているので、アクティブファンド選びにいいかも。

インデックスファンドもいいけど、それだけではつまらないと感じたら、この本を片手に運用会社からファンドを選んでみるのがオススメ。

欠点はファンドを選んでから販売会社を探すと証券口座が増えるってことくらいかな・・・

モーニングスターが過去に日本のファンド300本について分析した本を出していましたが、一回限りで終わってしまいました。

こちらは運用会社に着眼していますが、是非毎年出すシリーズものに成長して欲しい本ですね。

次回は頑張って評価対象運用会社を全ての運用会社に!