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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

投資信託にだまされるな![新版] 竹川美奈子

竹川美奈子さんのベストセラーの改訂版です。

前著が3年前でしたが、投信業界の様子も変わったので「今」に合わせて内容が改訂されています。

第一章:こんな投信は買ってはいけない

第二章:これだけ知っておけば金融機関にだまされない!

第三章:では、どんな商品を買えばいいのか?

第四章:世代別に見る、投資信託の活用法

第五章:投信の疑問にすべて答えます

最初にセンセーショナルな題名の通りに、だまされ投信がズラーっと紹介されます。

これは、広告の例が絵付きで書かれているので、これを見ればあの人気商品にはこんなウラがあったのかと分かる仕組み。

第二章ではどういう点に気をつけて投信選びをすればいいのか?重要な点が書かれています。

「販売手数料の高い投信はできるだけ避ける」「新聞・雑誌のランキングで未来は読めない」などなど。

第三章で具体的に投信を買うのであればこういう方法がオススメという事で、日本株式、海外株式、日本債券、海外債券の4資産に分散投資することを薦めています。2007年版と違って新興国株式インデックスファンドのラインナップがそろったので海外株式が先進国株+新興国株に変わったのが新しい点。

ネット証券で積立するのがいいですよと書かれていて、積立に強いネット証券としてカブドットコム証券が紹介されていますが、これは僕もそう思います。あそこが一番カスタマイズできるし、設立当時から投信積立に力を入れています。

第四章では資産形成期とリタイア後の投信の使い方の違いについて書かれています。

10年以上積み立てると複利効果がしっかりでるようになるので資産形成期の人には自動積立を薦めています。

第五章ではQ&A形式で投信に関するよくある疑問に答えています。

この本は、帯にも書かれていますが、最低限第一章だけでも読んで欲しいです。

定期預金とのセットや分配金の多さを売りにした投信が実はどういったものなのか?を図解入りで説明してありますので、金融機関で得られている投信がいかに危険かがわかります。

本当は窓口で相談できる金融機関が第三章で紹介されているような投資者にとって本当に役立つ商品を取り扱ってくれるといいのですが、今の投信窓販は完全に販売手数料狙いの集金マシーンと化しているので長期での資産形成には役立ちません。

各章の最後にコラムがあって、STAMインデックスシリーズの信託報酬値下げのような新しい話題も取り上げられています。

そして最後に日本に独立系投信は根付く?というコラムで終了。

アメリカで投資家の支持を集めているのがキャピタルやバンガード、フィデリティといった独立系投信会社なのに対して日本は金融機関の子会社という位置付けについて書かれていて、そんな中投資家本位の投信を直販でやっている独立系投信会社を紹介していました。

まだ経営基盤が安定しているとはいえないものの、それぞれの会社が独自の運用理念を掲げて特色のある投信運用を行うことで投資家に支持される投信に育っていくか長い目で見守りたいとありました。

日本にはデパートのように全ての資産クラスの商品を運用している投信会社が多くて、なかなか運用会社の特徴がみえてきません。

その点独立系は基本的に1社1本の投信をしっかり運用しているので運用理念がわかりやすいのが特徴です。

共感できる運用理念を持った投信会社の投信を買いたいと僕は思っているので、このブログではチョクハン投信を応援しています。

1,500円というのはマネー本としては割と普通の値段ですが、最初に手に取る人には「うーん」と考えてしまう金額かもしれません。

でも、1,500円というのは販売手数料3.15%の投信を5万円買うのを止めるだけでペイできる金額ですので、ぜひ投信を買おうと思ってマネー本コーナーに来た人には買う前にこの本を読んで欲しいです。

著者の竹川さんに会って直接質問してみたい!という人は毎月第一水曜に六本木でコツコツ投資家がコツコツ集まる夕べというのを開催しています。(こちら

とてもフランクな会で、そこでは金融商品の勧誘などは行われておらず、コツコツ投資を実践している一般の人同士の交流が行われていますので安心して来て下さい。