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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

クルミドコーヒーのセキュリテの夕べに行って来ました

16日の夜は西国分寺にあるクルミドコーヒーというカフェで行われたセキュリテの夕べに行って来ました。

ここのオーナーの影山さんは月曜の夜にクルミドの夕べという会を開いているのですが、ミュージックセキュリティーズの出資者でもあることから今回はセキュリテの夕べという形での開催になりました。ちなみにセキュリテの夕べはこれが第二回。第一回目は共有の森とワリバシカンパニーでした。

はじめに影山さんから簡単な挨拶があった後参加者の自己紹介。

社会貢献について学んでいたりする学生さんが多かったです。

第一部は杉山さんがマイクロファイナンスに関わっていく過程を交えながらマイクロファイナンスについて。

第二部はカンボジア3の説明。

その後、質疑応答。

杉山さん:

途上国の貧困を初めて見たのは大学二年の時にNGOのプログラムでタイのバンコクに行った時。その後、卒業までにいくつかの国で過ごした。

同じプログラムに参加していたアメリカ人は宗教的にも寄付の考えがあるのでお金をあげていたが、自分は学生なのに人にお金をあげるなんてと考え、お金をあげなかった。その事で議論にもなったが、お金をあげるのではない違ったやり方で貧困に対する支援をしたいと考えた。

その後、日本に帰ったがすっかり周りは就職を決めていた状況だった。貧困に対する何かしようと思い、法律を変えればいいと考え政治的な観点からアプローチしたがうまくいかず、ニューヨークのコロンビア大学へ行った。

そこで出会った人からマイクロファイナンスについて熱い語りを聞いたのが始まり。

ちょうどニューヨークのウォールストリートでは日替わりでセミナーが開かれるくらいホットな話題だった。

日本の開発支援とは違ったアプローチに興味を持ち、グラミン銀行インターンシップに。まだノーベル平和賞をとる前でインターンシップの最終日にはユヌスさんと会って話したり一緒に写真撮ったりできた。

グラミン銀行は実は過去に何度かノミネートされていて、受賞した年もどうせ今年も無理だとみんな思っていたらウォールストリートでマイクロファイナンスが熱くなっていたりと受賞に向けた波が来ていた年でもあった。

その後日本に帰ってマイクロファイナンスファンドを立ち上げようとして現在に至る。

マイクロファイナンスの良いところは3つある。

1.みんなの前でお金を借りて返済できる

この写真を見て、この写真は自分がある質問をした後の反応です。楽しそうですが何と質問したでしょう?

 答えは借金している人。

国によるが女性はお金に触ってもいけない国もあったり、女性の地位がまだ低い途上国がある。そんな中で自分を信用してお金を貸してくれるということは誇らしい事。

貸すという事も素晴らしいが、きちんと返済するのでより素晴らしい。

マイクロファイナンスは返済もマイクロ。

例えば三万円かりたら毎週千円ずつ返済するような感じ。

ただしカンボジアは農業国なので返済額は多め。

そうやって信用を積み上げて借りられる金額が徐々に大きくなっていく事が誇らしい。

お金をあげなくて良かったと感じた。

よく消費者金融とはどこが違うのか聞かれるが、この笑顔を見たらわかるようにみんなの前で借りるのがマイクロファイナンス

みんなの前で借りるのは貸し手側の経費削減にもなるし、借りてへのいい意味でのプレッシャーにもなる。無人貸付機の前でコッソリ借りて、コッソリ返すのが消費者金融

2.貸している側にもメリットがあること

現地の人にお金が届く。

NGOへ寄付すると一部が組織の運営に使われるが、大きいのが先進国の職員の給与。

マイクロファイナンスではマイクロファイナンス機関が現地組織なので働いている人も現地の人。

そして、働いている人も魅力的。

自分の仕事に誇りを持って地域の仲間や国を良くしようと頑張っている。

ミュージックセキュリティーズが提携しているフィリピンのマイクロファイナンス機関でCARDという組織がある。マイクロファイナンス機関は離職率が高いキツい仕事だが、CARDの離職率は他と比べて低い。理由にはマニラ出身者を雇わない、一流大学を出た人を雇わないというのがある。そういう人は辞めてしまうから。

地方の大学を出た人の方が地元のためにと頑張ってくれる。

3.寄付ではなく投資であること

貧困解決へのアプローチとして

 公のODA

 民間の寄付

がある。民間にできるもう一つのアプローチがマイクロファイナンスへの投資。

民間で投資というスキームはこれまでなかった。

民間の寄付もまだ伸びる余地があるが、投資であれば循環させることができる。

明日生きるのを支援するのは税金や寄付で。

民間でできることは民間で。

マイクロファイナンスの短所:

貧困層は救えないと言われるがそもそもターゲットとして違う。

返せる人にだけ貸すのがマイクロファイナンス

マイクロファイナンスについて

マイクロファイナンス機関は世界中に約1万あると言われている。

その中で世界銀行が投資先とするようなミックスマーケットに登録しているのは1800(2008年は1300だったので伸びていることがわかる)

ミックスマーケットのようなDBに財務諸表をアップロードできるMFIが増えてきた。

ただ、全体で150くらいしか黒字のMFIがない。

そこへメインストリームの金融機関が投資する事で莫大な資金が一部に集中してしまった。

大手MFIとは100万人顧客がいるようなところで、そういうところにはお金がいきわたった。

ただし、これから成長を期待できるところはメインストリームの金融機関の投資対象にならない。

MFIとしては数千万円の出資でいいのに手数料ビジネスなのでメインストリームの金融機関側からするとある程度の大きさが必要。

例えば途上国にアメリカから審査に行くのに飛行機代や宿泊費などのコストをカバーできる手数料を稼げる規模のMFIはなかなか無い

そこで、このファンドでは資金調達が難しい中堅マイクロファイナンス機関に出資する。

マイクロファイナンスファンドを始めるに当たってプロを味方にというアドバイスをもらい、CARDを紹介された。

1986年 タイプライターと20ペソで始めたフィリピンのマイクロファイナンス機関。

タイプライターで世界各国に資金提供を呼びかけたが日本からだけ資金援助があったという事で日本とはつながりが深いMFI。

現地では3000円から貸し出しを行っている。

3万円でも現地で使うとレバレッジがきいて多くの人に役立つが、日本で同じことをやろうとするとある程度のお金が必要。

途上国であれば一口でも一人分の資金として十分。

開発とマイクロファイナンスの組み合わせをやっている所があるが大抵失敗する。

お金を使うのでマネジメントが大事。

金利を下げることがマイクロファイナンスにとって営業拡大する方法。

持続のためには余計な事をしないのが一番。

CAREの事業でもいろいろやっているがマイクロファイナンスは独立して事業化している。金融としては純粋に金融だけやって大きくなってからその他の分野に進出する。

最初の頃はしっかり金利をとって経営の地盤を固める。

NGOが運営するMFIの方が金利は低く設定しているが、いずれライセンスをとって銀行になっていく。

NGO系のMFIが多くなるとビジネスでマイクロファイナンスをやっているところは金利で勝てず、結果として市場が大きく育たない問題もある。

NGOから独立させてもビジネスで関わった方が市場にとっても良いこと。

感想:

クルミドコーヒーは以前から行ってみたいと思っていたのですが、このような機会があって遂に背中が押されました。

結局コーヒーしか飲まなかったのですが、他の人が食べているのを見たらやっぱりなんか頼むべきだったかと後悔しました・・・

マイクロファイナンスのセミナーは以前カンボジア1の時に一度出ただけだったので、もう少し話を聞いてみようと思って参加してみました。マイクロファイナンスのセミナーだとやっぱり若い人で社会貢献に興味を持っている人が多いですね。

純米酒ファンドや共有の森ファンドとはまた違った層です。

こう言ってはなんですが、ミュージックセキュリティーズのファンド群の中でも投資家の真剣さが際立って高い気がします。

共有の森ファンドとかも林業再生とかうたってますけど、出資している側は割と気楽に応援したいって気持ちで出資してますもんね。

純米酒ファンドなんて酒好きの集まりですし。(それがいいんですが)

過去2本のマイクロファイナンスファンドの投資家アンケートで、投資理由が「マイクロファイナンスに共感」、「寄付ではなく投資に共感」という人が大半で、「利益が出そうだから」という人は若干名というところがマイクロファイナンス債券への投資家とは違うところなんでしょうね。

債券と違って最終的なリターンもわからないし、募集してる側も「最大のリスクはたぶん為替リスク」なんて話をしているので、イケイケの証券会社の営業トークとは全く違う営業してますし。

投資家向けの営業というよりも社会貢献側からの視点で営業しているので、それがいいところでもあり、リスクがどの程度かわからないので手を出しづらいという面があるのかも。

マイクロファイナンスファンドは「いっそ寄付よりもいいだろ」って割り切れた人が利益度外視で買っている気がします。

証券会社が売ってるインパクトインベストメントの商品って、金利だとかそういう投資家目線での売りがまずありつつも、世の中の役にたつお金になりますよって事を加えて投資家の財布の紐を緩めてると思うんだけど、両者は出身が違うからなぁ。

今の方向は間違ってないし、続けて欲しいけれど、かたや百億円単位をどーんと売り切る一方でもう一方は1千万円単位で集めるのに苦労しているのは、直販投信もそうだけど、知名度ないうちは厳しいよね。

マイクロファイナンスへの投資リターンは一般的に高めなので、マイクロファイナンスファンドにもギラギラした投資家が集まって来たっていいはずなんだけど、そういう人も見かけないし。

セミナーに来る人を見て、お金はあんまり集まりそうにないけど、やっている方向性は正しいし、ミュージックセキュリティーズらしさが出ていると感じました。(ギラギラした想定利回りはいくら?とかそういう人は見かけない)

でも、せっかくだったら多くの人に存在を知ってもらって、ファンドの趣旨に共感したら投資して欲しいけど、ファンドへの投資ってなると損したらどうしようって構えちゃうのかなあ。特に、投資経験のない社会貢献に興味のある人達からするとファンドへの投資ってハードルがあるよね。

セミナーの参加者からマイクロファイナンスファンドに現地でフェアトレードのような展開は無いの?って質問があったけど、そういうのがない純粋な金融商品だというのも社会貢献から入った人には物足りないのかも。

ただ、この間参加した別のセミナーで、これまで何年も国際NGOに寄付をし続けているけど、一向にその国の状況が良くならないので寄付ではなくマイクロファイナンスに興味がある。日本でマイクロファイナンスにお金を出せる先はないんですか?って質問をした人がいたのを見て、ニーズはあると感じたんですけどね。

関連リンク

 マイクロファイナンス貧困削減ファンド

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