11月25日にミュージックセキュリティーズ主催のマイクロファイナンスファンド「カンボジア3」の説明会に行って来ました。
この会では、実際に投資先になるカンボジアのMFIセイラニティのチャンカールー支店からチャンバス支店長が来るということで楽しみにしていました。
チャンバスさんの話を聞いていると、チャンカールー支店の延滞率が0.2%と想像以上に低かったことも納得です。
チャンカールー支店について
顧客数 984名
ローン担当者 4名
平均ローンサイズ 315ドル(約一口分ですね)
延滞率 0.2%(セイラニティ全体は約4%)
貸し出しのプロセス
1.ローン担当者が訪問し、ビジネスプランを提出してもらう
2.ビジネスプランと希望金額と返済能力をローン担当者が審査
3.支店長が再び現地に行って提出された資料と現状が正しいか確認
4.支店長が承認すると経理担当がシステム処理を行い貸付日を決定
5.ローン担当者から貸し手へ貸し出す日を連絡し、支店に取りに来てもらう
6.3〜4日後にローン担当者が貸し手を訪問し、申請通りのお金の使い道か確認する
中には違った事に使ってしまう人もいるため
7.支店長の上の支部長も約半数の顧客の資金使途をチェック、本店からもランダムにチェックが入ります
また、多重債務はマイクロファイナンスにとって致命的なため、できるだけ発生しないように気を付けている。
村長さんと密にコミュニケーションをとって多重債務をしないように務めているそうです。
マイクロファイナンス機関としても村長さんに多重債務にならないかどうか確認しているとのこと。
このへんは地域のコミュニティがしっかり残っているカンボジアならではだなぁと思いました。
また、参加者からの質問でファンドへ投資したお金は支店だけに届くというのは独立採算なのか?という質問がありましたが、ファンドとしてはセイラニティの本部へ送金するけれども、そのお金は支店に紐づいたお金という扱いになるという回答でした。
おまけで、これまで僕がマイクロファイナンスファンドについて聞いてきた事をまとめてみました。
マイクロファイナンスファンドについて、よく聞かれるのがマイクロファイナンスをやっているのですか?という事だそうです。
ミュージックセキュリティーズではマイクロファイナンスをやっているのではなく、現地のマイクロファイナンス機関への資金調達をお手伝いしています。
マイクロファイナンスファンドのメリットとして現地へ届くお金の割合の高さがあげられます。
一般的なNGOへの寄付だと運営費用などで25%ほど引かれて現地へは残りのお金が送金されます。
マイクロファイナンスファンドでは入り口で5.5%の手数料をとった後は全て現地に送金されて利用されます。
過去2回マイクロファイナンスファンドが募集されましたが、その投資目的についてアンケートをとった結果、マイクロファイナンスや寄付ではなく投資という仕組みに共感した投資家が大半を占めました。
マイクロファイナンスへの投資という事で利益も当然見込める商品ではありますが、事業に共感した個人からお金が集まっていることがわかります。
一口3万円からの投資になりますが、日本では個人向けに貸し出すのに3万円ではあまり足しになりません。
ですが、途上国で3万円というのは大きなインパクトを持ちます。
カンボジアの場合2007年時点での一人当たりGDPは600ドル程。
マイクロファイナンスファンドは3年間お金を出資しますので、その間現地で何人もの人にお金を融資する元手として利用されます。
マイクロファイナンスの魅力。ひとつ目は借り手が魅力的なこと。
現地では銀行からお金を借りられない人にとって、マイクロファイナンスからお金を借りて返済できることが誇らしいことになっています。また、女性の地位が低い国の場合、誰かから認められるという事は嬉しいことです。
写真は杉山さんがこの中でローンを借りている人?と聞いたときの反応です。
日本の消費者金融とは全然違うことがこの笑顔でわかると思います。
マイクロファイナンス機関で働いている人も魅力的です。
自分も貧しい家の出身だったからと寝る間も惜しんで働いています。
また、セイラニティでは貸し手の家をこまめに訪問して農作物の作況やどうしたらいいかのアドバイスなども行います。
マイクロファイナンスへの投資はこれまで日本になかった仕組みです。
民間にできるところは民間のお金ですることで、税金を別のもっと必要とされている開発援助にまわすこともできるようになります。
マイクロファイナンスは最貧困層を救えません。
ですが、むしろそういう人たちへお金を貸しつけてはいけません。
ターゲットが異なるのです。
マイクロファイナンスファンドカンボジア3−1の募集期間は12月6日までです。