目論見書や運用報告書から重要な部分をピックアップしていこうというコーナーです。 今後、セレクトファンドを全て網羅していく予定です。
第一回目はこの間「はじめてのコモンズ」セミナーにも行ったコモンズ30ファンド。 参考資料はこちらです。
目論見書を読むにあたり、竹川美奈子さんが提唱するP-CCAP(ピーキャップ)の法則を利用します。
- Policy(運用ポリシー)
- Cost(手数料)
- going-Concern(継続性)
- Asset(純資産総額)
- Performance(運用実績)
1.運用ポリシー(Policy)
コモンズ30ファンドの運用理念、投資方針について目論見書にはこのように書いてあります。
運用理念: 私たちのファンドは、「現役と次世代の生活者にとっての豊かな社会を導く長期投資」「企業の永続的な繁栄と価値創造を応援する長期資本」を育むことを目的としています。
投資方針:
- 30年目線の長期投資をします
- 30銘柄程度の厳選投資をします(株式組入比率は30〜100%)
- 企業リサーチによる銘柄選別を基本とし、ベンチマークはありません
- 企業の「見えない資産」も評価対象とします(→5つの資産)
銘柄選択基準:
- 収益性&資本政策
- ブランド
- 国際競争力
- 企業文化
- ガバナンス&長期視野
- マネジメント
アナリストや経営者、メディアなどから幅広い視点で投資対象となる企業群を絞り込みます(200銘柄程度)。 次にホームページやアニュアルレポート、有価証券報告書などを読み込み、アナリストによる企業訪問で70社程度に絞り込みます。
企業訪問の前には過去30年分のアニュアルレポートや株価の動き、社会の動きなどを読み込み、こういった危機の時はどういう対応をした?それは現在に生かされている?など長期的な目線でのインタビューになります。
四半期決算の数字を追うアナリストが多い中、企業経営者と同様長期的な視点にたって企業を見ているため、企業側とも友好的な対話ができています。
また、見えない価値を評価する際の指標として役員の数が少ない企業の方が多い企業をアウトパフォームするといったもの(ガバナンス)や、働きやすい企業は市場平均よりもアウトパフォームする(人財価値)などがあげられます。
毎月行われる投資委員会で70社の銘柄群からファンドに組み入れる30銘柄程度を選びます。 その際、ファンドに組み入れる事によるファンドの値動きの変化なども考慮されています。 ファンドマネージャーと社長が組み入れたいと考えていた銘柄であっても投資委員会で否決されることもあるそうです。
運用報告書から売買を見ると、売却は銘柄の全売却のみで、保有株式の利益確定売りがないことがわかります。 基本的には買い持ちする運用をしています。(第一期の運用でも同様でした)
2.手数料(Cost)
申込手数料:コモンズ投信直販、ソニー銀行いずれの場合もかかりません。(ノーロード)
信託報酬:運用残高の増加に伴い段階的に信託報酬を引き下げます。
また、三方よし(三方:お客さま、コモンズ投信、社会)」というメッセージを明確に発信し実行していくために、信託報酬における毎年の当社収益分の一部を、お客さま(受益者)と検討のうえ、次世代のために持続性ある社会を造ることにチャレンジする社会的活動・事業の支援プログラムに寄付をします。
コモンズSEEDCap(社会起業家育成支援プログラム):
第一回は児童労働問題に取り組むNGO ACEへの寄付を行いました。(→ロイターのニュース記事) 第二回は迅速な災害時緊急支援に取り組む公益社団 Civic Force への寄付を行う事を表明しています。(→ブログ記事)
- 実質コスト(第二期) 第二期の実質コストは 1.41% でした。
- 信託財産留保額 ありません
3.継続性(going-Concern)
- 信託期間 無期限
- 信託期間の終了条件 受益権口数が10億口を下回った場合 または信託契約を解約するのがお客様にとって有利な場合、もしくはやむを得ない場合
4.純資産総額(Asset)
純資産総額 純資産総額は運用報告書にも記載されています。
2009年1月19日:118百万円
2010年1月18日:462百万円
2011年1月18日:986百万円
2011年3月18日:1,012百万円 (※この記事執筆時の最新)
機関投資家向けファンドを含むマザーファンドの純資産総額です。
2009年1月19日:118百万円
2010年1月18日:530百万円
2011年1月18日:1,685百万円
5.運用実績(Performance)
コモンズ30ファンドは積立顧客率が約75%と毎月安定的に資金の流入が続いています。 第二期も5.8億円の流入に対して、解約は6,000万円程でした。
第二期末(2011年1月18日)における組入銘柄です。 原発関連の日本製鋼所を19位に組み入れており、福島第一原子力発電所の津波による被害を受けて世界的に原子力発電所の建設をストップする流れも見える中、コモンズ30ファンドがどう判断するかに注目です。
◆関連HP◆