ユニオン投信交流会に参加しました(1)
7月23日(土)に開催されたユニオン投信交流会に参加してきました。
最初に社長の田子さんからお話があり、ユニオンファンドはちょうど交流会の前日に口座数が1,000を超えたという報告がありました。(おめでとうございます!)
地域別顧客数ではエプソンの地元長野が圧倒的で、他にもエプソンの事業所がある都道府県が多いという事でした。
他に大きな特徴としては解約がとても少ない点を挙げられ、リーマンショック直後に設定されながらも、しっかりと顧客に支持されている事がうかがえました。
続いて、セイコーエプソン労働組合執行委員長の袖山さんからセイコーエプソン労働組合のライフサポート活動とユニオン投信についての説明、最後にファンドマネージャーの坂爪さんからユニオンファンドの運用についてのお話がありました。
セイコーエプソン労働組合のライフサポート活動
袖山さんから職場や労働環境は変わりつつあり、かつて労働組合に求められていたことと、現在求められていることが変わってきているのではないか?というお話がありました。
かつては「賃金・労働条件の向上」だけでも成果があったものが、職場ではパワハラの相談が増え、家庭では日常生活や育児、介護といったお金に関する相談が増えていて心の満足や多様化する価値観に応えられる支援が求められています。
そこで、セイコーエプソン労働組合では「経営対策」労組として最低限行う活動に加えて「ライフサポート」「社会貢献」の3本柱で活動を行っています。
かつては賃上げ交渉が組合活動の大きな柱でしたが、鉢巻をまいてガンバロウ!と声を上げてもベースアップは100円〜500円でした。
そこで、家計へのお金の入口の拡大を目指すのではなく、出口を見直す事で可処分所得を増やす活動へとシフトしました。
また、活動の判断基準としては「釣った魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」というものがあります。
直接的にサポートするのではなく、知識面でサポートすることで自分でやってみるということと、経験を積んだことによる今後似た場面での応用が期待できるからです。
各支部にいる書記さんにFPの資格などをとってもらい、生活設計全般に関する知識を身につけてもらった事で書記さんにとっても仕事にやりがいが出て広がっていったそうです。
生命保険見直しや住宅ローンに関するセミナーなどは人気があり、特に住宅ローンの借り換えや繰上返済などは百万円以上の効果があることもあり、賃上げ交渉以上の可処分所得の増大に寄与することができます。
また、懇親会でお聞きした話では登記に関しても自分で行うように薦めているそうで、土地家屋調査士さんや行政書士さんに頼むと30万円くらいかかるのが自分でやると費用もかなり抑えられるそうです。(手間はA4の書類1枚程度の処理なんだそうです)長野では法務局の方も自分で登記したいという人が来るとエプソン社員さんですか?と聞いて親切に教えてくれるところまで広がっているとか。
セイコーエプソン労組では3本目の柱、社会貢献活動をハッピースマイル活動と名付けていてカンパだけではなく組合員自らも参加できるような活動を心がけています。
手軽な社会貢献としては地元信州のひのき間伐材を用いた箸に布団メーカーから出る端布を使った箸袋を北海道のニートの人に作ってもらったり、カンボジアに足踏みミシンを送って縫ってもらった箸袋を組み合わせたマイ箸などがあります。(労組のロゴはエプソンのインクジェットプリンタで印刷してます)
組合の会議などでも弁当は出ても箸は出ないそうで、マイ箸を使ってもらう事で社会貢献活動に自然と参加できる仕組みになってます。
(交流会参加者にも一膳プレゼントされました。ありがとうございました。)
他にも小中学校に行ってトイレ掃除をする活動やエコキッズ大作戦という家庭における環境活動やカンボジアに学校を作るだけではなく、教員を育てるための活動にも寄付を行ったりしています。
かつてはセイコーエプソン労組でも学校を作る方に寄付をしていたそうなのですが、お金の集まりやすい学校建設よりも教員育成の方に寄付をしてくれませんか?NGOにとお願いされ、魚の釣り方を教えるの方針に則って教員育成への寄付へと方針転換したとか。
これも素晴らしい活動だと思います。
ユニオン投信誕生の背景
2005年にセイコーエプソンでは年金制度の一部を確定拠出年金に移行する提案が会社側から出され、多くの組合員が困惑したそうです。
そこで組合の役員が自ら勉強した結果、日々の生活環境も大事だけれども老後資金の問題はもっと深刻で、ただお金を貯めているだけでは昔のように増えていかない事に気づき、資産運用についても考えようという流れが始まったそうです。
最初は資産運用セミナーや金融商品の選び方セミナー、幸せな生き方セミナーという活動だったのですが、セミナーだけだと、
そこから行動になかなかつながらないのと、エプソン労組の組合員だけでなく働く仲間全体にこの活動を広げられないか?という点が浮かび上がってきました。
そこで、共済(保険)や労金(銀行)のように働く仲間に対して「安心して信頼できる資産運用商品」を提供したいという事になり、労働組合が株式会社を設立するという議論を得てユニオン投信を設立したそうです。
全労済や労金が労働組合から生まれたものというのは初めて知った事でしたので、そういうところから労働組合が投信会社を設立したのかと思うと、ユニオン投信設立の理念が腑に落ちました。
また、労働組合のような非営利団体が作った株式会社という事で、ユニオン投信は株式会社であるにも関わらず、利益のみを追求する会社ではありません。余剰利益は社会的弱者の自立支援と地球環境保護活動に全て還元するそうです。
先日、マイクロファイナンスを起こしてノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏の講演に行きましたが、「ソーシャルビジネスとは企業の利益を配当に回すのではなく、社会問題の解決に回すことだ」と話されていたの思い出しました。
ユニオン投信はソーシャル・ビジネスでもあるのではないでしょうか?
保険会社に対する共済、銀行に対する労金のように、既存投信会社に対するユニオン投信という位置づけが明確に、全国に広まっていって欲しいです。
この流れの一つとして、ユニオン投信に国際航業労組も資本参加することになりました。そして、他の労働組合にも参加を呼びかけています。
いずれは直販投信ではなく、労働組合系投資信託として認知されるようになれば本物ですね。
袖山さんのお話を聞いてユニオン投信の背景や目指す姿が理解できました。
組合員のみならず、働く仲間とその家族、地域社会などなど広い意味で幸せになって欲しいという願いから生まれたファンドなんですね。
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