昨日、鎌倉の建長寺で開催された結い2101受益者総会に行って来ました。
投資信託の受益者総会を開催しているのは鎌倉投信さんだけ!昨年に続いて2回目になります。
受益者総会といっても、運用報告は少しだけでほとんどの時間は投資している「いい会社」の社長さんが自らの想いを話す場になっていてものすごく刺激を受けた一日でした。
鎌田さんから結い2101は受益者、投資先の会社、鎌倉投信の3つが輪を広げたいという話がありましたが、見事に3つの輪が融合した場でした。投資信託の集まりであの和やかさってのは他では味わえない感覚ですね。
鎌倉投信の目指す投資信託として『個人投資家の皆様から投資先の会社の活動が見え、自分のお金が社会の発展に貢献していることを実感することができる投資信託』というのがありますが、まさに自分のお金がどのように社会に貢献しているか実感できたのではないでしょうか?
スープストックトーキョーを展開しているスマイルズの遠山社長が今年はこれが流行すると言われて、そのとおりのものを用意して売れなかったとしたらどうするのか?また誰か違う人から売れるものを聞いてくるのか?自分で考えて決める事が大事。そうしないと失敗した時になぜ失敗したかわからず、また失敗を繰り返すと話しているのを以前聞いたことがあります。
投資も同じで、あの方法がいいよと言われて、言われるがままに投資したのでは市場全体が下がった時に止めてしまいます。
下がった時に止めてしまうのは損失を確定するということですので、せっかく資産を増やそうとしたのに逆に減らしてしまう結果になります。
本当は結果が出るまで続ける必要があるのですが、自分で何に投資しているのか?なぜ投資しているのか納得していないと止めてしまうのです。これはいくら合理的な投資手法を選んでいたとしても心理的ダメージに耐えられないからです。
ウォーレン・バフェットはリスクというのは自分が何に投資しているのか理解していないことだと言っています。
鎌倉投信の鎌田社長も同じ事を言っています。
この受益者総会は、結い2101が何を目指しているのか?どんな会社に投資しているのか?を投資先の会社の会長、社長の話を聞くことで深く理解できる場です。結い2101は長期的に4%程度のリターンを目指すという事で株式ファンドにしては目標リターンは控えめです。
それでも、こういうファンドなんだと理解して納得した投資家から共感で結ばれたお金が集まったのだとしたら、投資先の小さないい会社にとって、本当にありがたい安定株主になれるのではないでしょうか?
鎌田社長から運用責任者の新井さんがプレッシャーは一人で受け止めて受益者の皆さんがハラハラしないような運用をすると言っていましたが、投信評価会社から本当に株が入っているんですか?と問い合わせが来るくらい(笑)値動きがマイルドに仕上がっています。
値動きもマイルドなら受益者も心穏やかにいられますし、投信の集まりなのに数字や今後の株式市場の行方などを質問する人もなく、笑顔と笑い声、そして感動の涙にあふれた幸せな場でした。
昨年のホールでの開催よりも3者の距離感がぐっと近づいて一体感がありましたね。
いい受益者総会でした。来年も楽しみです。
それでは、どんな会だったかの振り返りです。
当日のTwitter中継と参加された方のつぶやきをまとめました。(→こちら)
午後の運用報告の模様がYouTubeでも公開されています。
開会の挨拶で鎌田社長から受益者総会では3つのことを伝えたいという話がありました。
一つは皆さんへの感謝。昨年の受益者総会の段階では口座開設は500名程。今年は決算日の7/19現在で約1,000名。昨日時点ではガイアの夜明けで紹介されたこともあり、1600名ほどに。
2つ目は欧米の影響で株価が激しく動いているが、プレッシャーは新井が一人で引き受けて、お客様には安心していただけるような運用をしている。今日は運用をしている新井さんからの話も。
3つ目は投資先の会長、社長の話を聞いて生き様、考え方などをぜひ知ってほしい。展示ブースにも何社か社員の方が来ているので是非話を聞いて欲しい。
続いて運用責任者の新井さんの運用報告。
7/19現在で純資産は6億円。昨日時点では6億9千万円。口座開設者もガイアの夜明けの効果で一気に増えた。これまでのテレビの影響はすぐに終わっていたがガイアの夜明け効果は長く続いている。地方局の放送タイミングがずれているため。
組入会社数は7/19時点で29社。うち非上場が1社でアメニティさん。現時点では31社。どの会社に投資しているかはホームページで公開しているのでぜひ確認して欲しい。
当初の計画では3年で100社、非上場を最大30社程度としていたが若干遅れ気味。組入については「人」、「共生」、「匠」の3つのテーマで。
TOPIXに付いて行きたくないので市場を分散している。
今年はデジタルハーツさんがマザーズから東証一部に鞍替えした事もあり東証一部の比率が上昇してしまった(笑)
それでも東証一部は半分以下に抑えている。
市場だけではなく、業種も分散している。
化学の比率が多いが、これは化学の範囲が広いことと、匠の会社が化学に分類されることが多いため。
ポートフォリオ全体として特定の業種による影響を受けないように。
この分散と現金比率30%によって株式(しかもボラティリティが高い小型株中心なのに!)を持っているとは信じられないようなマイルドな値動きを実現しています。
株式時価総額別構成比では5000億円以上の大型株が3%(ヤマトHD)
1000億円以上5000億円未満の中型株でも27%。
残りの70%は小型株。
小さいけれどもいい会社に分散投資している。
どの会社の株が上がるかは事前にわからないので、基本的には均等配分で。
アミタHDが震災復興銘柄という事で震災後5倍に急騰してしまったため、リスクを抑えるために一部売却して比率を下げている。
青:結い2101
赤:TOPIX
リターンの推移。
結い2101は長期的目標として信託報酬控除前で5%、控除後で4%程度としている。
目標の直線を引いた事に業界の人から批判も受けたが、実現するためにはまず書く事から。
いい会社の社長は自社の業績目標をこのように書いて実現している。
運用する側も目標リターンを書くことで実現させたい。
実際、神様は優しくて決算前にちょこんとプラスに展示させてくれた(笑)
それまで一度も上回ってなかったのに。
リスクについて。
結い2101の日次リスクは10.70%だった。
目標の10%は震災の影響もあって超えてしまったが。
ちなみにモーニングスターは月次でリスクを計算しているため5.80%、R&Iは年次のため1.70%。
リスクは日次で評価しないといけない。なぜなら震災は月末に発生するとは限らないから。
投資行動について。
基本的には毎日コツコツと買い付けを行なっているが、暴落したときには大きく買い付けている。
逆に急騰した場合には売却を。
下落リスク管理として、組入銘柄の解散価値と株価の比較を行なっている。
解散価値と株価の差が市場の期待値。
震災の後、解散価値に近いところまで株価が下がったので大きく買いを入れた。
取引コスト。
10、000円につき約10円。
このレベルはまだ割高だと感じているが、規模が大きくないのでディスカウントがきいていない。
売買回転率は154%だが、これは順調に資産が増えているため。
純資産額が落ち着いたら30〜40%になると思われる。
社会性指標。
代表的なものを3つ紹介。
1)障碍者雇用:4%を指標としたい。これは人口における障碍者の比率。
エフピコは16.1%と群を抜いて高いが、これは元養護学校の教師が特定子会社の社長として本気で障碍者雇用に取り組んでいる結果。
養護学校の教師時代にエフピコに採用をお願いしに行ったら「お前が会社を作って採用すればいい」と言われて作った会社なので本気度が違う。
人財を生かす実力のある会社は本業で、正社員で障碍者を雇用する。
ツムラも2012年度末に4%を目標に据えている。(現時点では3.19%)
ヤマトHDの子会社スワンベーカリーでは障碍者が作ったとは思えない美味しいパンを売っている。今日のお昼にスワンベーカリーのパンを販売するので是非買って欲しい。
2)東北復興支援:
ヤマトHD:宅配便1個につき10円の義援金。見込みでは130億円。
また、被災地では現場の判断で自衛隊の救援物資を宅急便のトラックを使って運搬した。
そのままでは業務外の行動となり、労災認定できない為、本社は後から組織として認めた。
自然発生的にこういう行動ができるのがヤマトの魅力。
実はこれまでも中越地震で車が入れないため他社が運べない地域へもワクチンを背負って運んだりしている。
未来工業:社員旅行の費用1億円を社長に黙って社員が義援金にすることを決めた。
亀田製菓:震災の影響で内定取り消しになった新卒社を10名採用
アミタHD:関連会社のワリバシカンパニーの初出荷を被災地の仙台へ。割り箸1万膳を支援物資として炊き出しに利用。
3)地域活性化:各都道府県のいい会社に投資する
29社で15都道府県に(主な拠点ベース)
新井さんの運用報告は予定時間を20分超えて終了。
主にいい会社の紹介に時間を費やし、ヤマトHDの被災地での活動では効いていてちょっと泣いてしまいました。