コモンズ投信のコモンズ30塾:吉野永之助「人クロスロード」に行って来ました。
ファンドマネージャーさんの投資人生を語るというテーマのセミナーはめったにないので貴重なお話を聴けました。
昔の日本の投資信託はエモーショナルな運用がなされていて、日計運用や調査をしないのが多かったそうなのですが、外国株投信が認められるようになってアメリカやカナダの運用会社に研修に行って長期投資や企業調査について学んで来たそうです。
アナリストレポートで予想できるのはせいぜい5年で、それ以上の予想は信用ができないとか。
バフェットもせいぜい5年先まで見通せるくらいで、その先は社会変化も考慮に入れる必要が出てくるので難しいそうです。
アナリストも証券会社の付き合いによっては悪く言えない場合があるが、以前はリサーチ専門のブティック型のリサーチファームがあって独立したいいレポートを出していて重宝していたが、存在が美しい為に消えてしまったそうです。
吉野さんが重要視している事は3つ
1.サスティナビリティ
継続的に利益が伸びる事
伸び率は低くても良いので継続性があること
2.ガバナンス
ポートフォリオはキレイに。モラルのあるものに。
不祥事の起きた会社は躊躇せず売却するのが顧客への忠誠。
3.海外展開
日本に留まらず、世界に打って出て成長していく会社
昔、小売りは日本だけが対象エリアだったがユニクロは世界に出て行っている。
ガバナンスについては面白い話があって、過去に問題があった会社はそれを教訓に出来ていればいい会社になるそうです。
また、ガバナンスの悪い会社を肌感覚で感じることができるそうですが、一例としては投資家として企業訪問しているのに商品説明をしたりバイヤーのような応対をされた時、自分はインベスターとして認識されていない事についてガバナンスがしっかりしていない会社と感じる。
投資は保守的に。
下げる前に避けることが大事。自分の常識で考えて89年の春先からキャッシュポジションを徐々に増やしていった。
フルインベストメントのファンドでキャッシュを個人的に30%持ったが4名のマルチマネージャーファンドだったのでファンド全体としては10%程度のキャッシュで顧客から責められる事もなかった。
ただし、上げ続ける中でキャッシュを持つには胆力が必要。
ユニット型投信で半分になると元本まで戻る事ができない経験から学んだ。
下がると元に戻る為にはそれ以上に上がる必要がある。
ファンドマネージャーに女性が少ないが?という質問に対して
ファンドマネージャーは楽をして広く見る能力が求められる。オーケストラの指揮者や野球の監督、船長など。
オーケストラではバイオリニストがよく演奏を間違っているが、それを認識しながらも全体として素晴らしい演奏にまとめあげるのが指揮者の役割。
女性はアナリスト向き。オーケストラのバイオリニストやピアニストなど。詳細をきちんとまとめる能力が求められる。
企業は株主を意識して経営をして欲しい。
バフェットと同様にROEを重視しているが、ROEのEを意識した経営を。Eは株主資本が主。
ROEは借金すれば上がるとかそういう事ではない。
セミナーの模様はUstreamでも中継され、録画を見る事ができますので是非見てみてください。
ファンドマネージャーの”人”にフォーカスしたセミナーという事で、貴重な機会を設けていただいたコモンズ投信さんには感謝です。
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