経済ジャーナリストの内田裕子さんが若い世代にある将来への不安への対処法と時間を味方につける投資についての本を書きました。
第一章 何があなたを不安にするのか
第二章 心とキャッシュの関係
第三章 マーケットのリズムに乗って
第四章 投資の鉄則「安く買って、高く売る」
第五章 達人は「常識」にものを言わせる
第六章 手に汗握らない投資
終 章 お金を味方につける
本書では20代、30代の人が漠然と抱えている不安について「将来漠然不安症候群」と名付け、漠然とした不安の正体を解説し、具体的になった問題に対して投資を通じて対処する方法が書かれています。
不安の要素として「雇用不安」「企業の変化」「低金利」「少子高齢化」「グローバル化」「年金」「財政問題」の7つについて具体的なデータを用いて解説しています。この部分はとてもわかりやすかったです。
不安の正体が明らかになったところで対処に移るのですが、内田さんはすぐに投資を始めるのではなく、まずはローンやリボ払いを利用しないようにするといった自分の生活の見直し、そして心の余裕を得る為に200万円の現金を積み立てで作る事を推奨しています。
これは1年間の生活費に相当するもので、20代で200万円の現金を持っていればかなり安心できるのではないでしょうか?
そして、投資を実際に行う段になったらまずは体験するという事で日経平均型のインデックスファンドを銀行でも証券会社でもどこでもいいので積み立てることを推奨していますが、この視点はなかなか面白いなと思いました。
普通の投資本だと販売手数料の安いネット証券に口座開設してというような流れになりますが、証券会社に口座を開くというのは心理的なハードルが高いものです。
最初のうちはまずは値動きがあるものを体験するという事に重きをおいて、銀行でもどこでもいいのでまず買ってみるというのはいいかもしれません。慣れて来てコストが気になる様になったらそこでネット証家に口座を開設しても最初は金額も積上っていないのでそんなに大きな差ができるわけでもないですし・・・
後半は直販投信を紹介していますが、直販投信のメリットは長期投資を目指しているお金が集まっている点にあると思います。
短期視点と長期視点のお金が混ざったファンドよりは運用する側も運用しやすくなるでしょうし、安いところで資金が流入すればパフォーマンスにも良い影響が現れます。
もちろん、直販投信以外にも低コストなインデックスファンドや長期投資に耐えられるであろう一部のアクティブファンドも存在していますので、好みに応じて投資していいと個人的には思います。
内田さんはWorld Investors TVの66Live出演時に「何に投資するかではなく、誰に託すのか自分で考えて投資する」のが大事ではないか?という様な事を話されていましたが、投資を継続するためにはそういった視点が重要だと自分も思います。
投資をする、しないの判断は個人によりますが、将来不安に思っていることのキーワードに本書に登場するものと合致するものがある人は本書の第一章を読む事でもやもやが解消するかもしれません。
そして自分にとって投資が必要かしっかり考えた上で時間を味方につけた長期投資への一歩を踏み出す道しるべになってくれるのではないでしょうか?