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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

「マッチング拠出」でDCはどう変わるか?

12月19日にフィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史(@nojirisato)さんの勉強会に参加しました。 今回の講師はFPであり、ビジネスメガネ男子の山崎俊輔(@yam_syun)さんでした。 DC10年目の法改正 「マッチング拠出」でDCはどう変わるか次の10年のDCはどう動くか 2012年から確定拠出年金(DC)に加入者本人による積み増しができるようになったことにより今後はどうなるのか?という内容でした。  ・2012年1月から企業型DCに加入者本人が追加で拠出ができるように  ・ただし、企業による規約の変更が必要(自動的に全企業でできるわけではない)  ・本人拠出額には制約がある    会社掛け金が25,500円未満の場合  本人掛け金は会社の掛け金と同額まで    会社掛け金が25,500円以上の場合  (51,000円-会社の掛け金)まで マッチング拠出のメリット  ・拠出元本が非課税で所得税、住民税が軽減される  ・運用中の利益が非課税  ・受け取り時点でも退職所得控除による税制優遇  ・元本確保型商品をマッチングで追加購入してもよい 確定拠出年金(DC)では老後資金を用意するのに税制上のメリットがあるだけではなく、マッチング拠出により運用がうまくいかなかった人に追加投資により失敗を薄めたり、リスクを取りたくないという人にとっても元本確保型商品を追加購入することで通常の定期預金などよりも税制優遇が受けられます。 デメリット  ・そもそも掛け金の少ない若年層にとってはマッチング額も少ない  ・60歳まで取り崩せない  ・会社側の事務負担の増加 会社側にとっては・・・  ・無リスクで福利厚生の充実をはかれる  ・ただし、給与計算システムの変更や事務処理の増加など負担も 規約を変更しなければ導入しなくて良いものなので、労働者が働きかけないと導入されない可能性が高い そのため、労働組合側から積極的に会社側へ働きかける必要がありそうです。 FPとして・・・  ・DCのマッチング可能かどうかは確認項目  ・可能なのであれば老後資金形成においてマッチングは優先すべき事項 DCの実態  ・10年で企業型DC 400万人は適格年金創設時と同じペース  ・制度の改善も進んでいて拠出額上限は10年で40%増  ・厚生年金被保険者の12%、8人に1人が利用している  ・投資未経験者の4割が投資をしていると思えば上出来  ・DCの投資家は日本で初めての「長期投資家」を育てている  ・勤労者が勤労者を支える本当の「投資」になる可能性がある 企業年金においてDCは運用リスクは個人が請け負うものの、受給権は確実に個人に与えられるために業績不振による減額リスクは会社が破綻した際の減額リスクなどから開放されるという大きなメリットもあります。 今後は退職給付制度に自助努力がマッチングにより付加されることで、老後資産形成のトータルプランの検討が必要な時代になると見込まれます。 自分の会社はDCを採用していない(中退共)ので残念ながらこの制度を利用できないのですが、マッチングは別に投資商品でないといけないという事はないので、老後資金形成の1つの手法として積極的に利用して欲しいなと思います。 最近、モーニングスターの朝倉さんが系列運用会社の投信を販売するのを禁止してはどうか?という提言をされていましたが(→こちら)、DCの商品は更に系列色が色濃くて本当に長期投資に向いたファンドがあまりないんですよね。 そちらもどうにかして欲しいなぁ・・・。