目論見書・運用報告書を読むシリーズ第六回目はJPモルガンアセットマネジメントが運用する『JF ザ・ジャパン』です。
参考資料はこちらです。
目論見書、運用報告書を読むにあたり、竹川美奈子さんが提唱するP-CCAP(ピーキャップ)の法則を利用します。
・Policy(運用ポリシー)
・Cost(手数料)
・going-Concern(継続性)
・Asset(純資産総額)
・Performance(運用実績)
1.運用ポリシー(Policy)
日本の産業構造が変化していく中で、利益成長性が高く、株主を重視した経営を行っており、かつこれらの状況を市場が株価に織り込んでいない、トップクラスの株価上昇が期待できる企業(=金メダル企業*)に投資を行います。
アナリストを設けず、運用者自ら徹底した企業取材(年間2,500件)を行ない、ボトムアップアプローチによる運用を行います。
ベンチマークとして東証株価指数(TOPIX)を設定していますが、東証一部へは2011年12月末現在で69.9%の投資率と低く、小型株を多く組み入れています。また、現金比率が12.09%とキャッシュポジションについてもアクティブファンドとしては多めに保有することがあります。(かつて中小型株の運用に定評のあったジャーディン・フレミングの運用チームが引き継がれています)
カバーしている銘柄群は大型株250銘柄、小型株100銘柄で構成され、四半期ごとに見直されます。
銘柄群は今後の成長が期待されるテーマに沿って組み入れられます。
運用哲学やポートフォリオ構築の流れなどは請求目論見書に詳細に記載されていますので、一読をお勧めします。
組入上位銘柄(2011年11月末現在)
1位:アンリツ
2位:UBIC
3位:KLab
4位:グリー
5位:ネットワンシステムズ
6位:サンリオ
7位:チタン工業
8位:レオパレス21
10位:タクマ
上位10銘柄 35.9%
全66銘柄
2.Cost(手数料)
通常の信託報酬は1.785%(税込)です。
実質コストは2.257%でした。
理由としては回転率が2.375と高く、売買手数料が嵩んでいる為です。
これは12期に限ったことではなく、11期で2.40%、10期で2.44%と毎年高めの実質コストとなっています。
それでもTOPIXを凌駕し続けているので問題ないのではないかと思うのですが・・・
ファンドの監査費用の上限が315万円(税込)というのもちょっと高い気がします。
3.going-Concern(継続性)
信託期間は無期限です。
繰上償還の条件としては20億口を下回った場合となっています。
4.Asset(純資産総額)
2011年12月末日時点で158.9億円です。
(マザーファンドの資産規模は197.6億円)
設定日が1999 年12 月15日と、既に10年以上の運用実績があります。
5.Performance(運用実績)
大型株だけでなく、小型株へも積極的に投資することで長期的にベンチマークであるTOPIXを上回る成績を残しています。
まとめ
信託報酬も高く、更には実質コストも高いものの長年に渡って優れた成績を残している日本株アクティブファンドです。
アナリストを置かず、運用チームのポートフォリオマネージャー全員が企業取材を行うことできめ細かな運用を行なっているのが特徴です。まさにボトムアップアプローチといった運用内容で、上位投資銘柄も割りと頻繁に変わります。
その分、コストも嵩んでいるのですが、それでも結果を長期にわたって残しているので高く評価しています。
販売会社も増えつつありますが、唯一残念なのがノーロードで購入できる販売会社がない点です。
コストが気になる人には手が出しづらいと思いますが、自分はいいファンドだと思います。