ベンジャミン・グレアムが書いた割安株(バリュー)投資の古典「賢明なる投資家」にウォーレン・バフェットが補遺として グレアム・ドット村のスーパー投資家達 というエッセイを書いています。
これはリンク先をたどるとネットでも読めるのですが、バリュー株投資の優位性をうまく表した名文です。
株価は短期的には激しく上下するのもの、長期的に見るとその会社の価値に基づいた価格になるという前提で考えると、価値と比較して株価が割安な株に投資するという割安株投資が持つ優位性が理解出来ると思います。
まぁ、効率的市場仮説とはこの前提条件が違うんですけどね。
バフェットは普通の投資家はインデックスファンドに投資すればたいていのファンドマネージャーに勝てるという発言をしていますが、これはあくまでも一般人に向けた言葉で、スーパー投資家の彼にとっては「効率的市場仮説は市場は常に効率的という事だが、市場は時折効率的になるのであり、だからこそバリュー投資が有効」になるのです。
また、彼はモダンポートフォリオ理論についても否定的で、自分がわからないものに投資することこそリスク。ちゃんと理解していれば集中投資していても問題ないと言っています。
自分もこの考えに賛成です。
バフェットはこのエッセイの中で全米中でコイン投げの大会をして、当たった人は外れた人からの掛け金1ドルを回収したら・・・という例を出しています。
すると10日後には1ドルを100万ドル以上に増やした215人に絞り込まれることになります。
-- 以下引用--
このころには、勝者たちはもう正気を失っています。
「二〇日間、毎朝三〇秒の労働で、一ドルを一〇〇万ドルにする方法」というタイトルで本を書く人さえ現れるはずです。
しかしもっと悪いことに、彼らは恐らく国内を飛び回って「効率的コイン投げセミナー」に参加し、疑い深い講師陣を相手取って「それがあり得ないと言うなら、われわれ二一五人の存在をどう説明するのだ」と食って掛かることでしょう。
そこで恐らくどこかのビジネススクールの教授が無礼にも割って入り、ある事実を提起するはずです。つまり、二億二五〇〇万匹のオランウータンに同様のことをやらせても、結果はほとんど同じ??二〇回連続で勝ち抜いた二一五匹の自己中心的なオランウータンが残る??であろうと。
-- 引用終わり --
これは、最後に出てきたのはまさに効率的市場仮説を指しているのですが、バフェットは勝ち残った215匹のうち40匹がオマハの動物園に集中していたのだとしたら、何らかの因果関係があるはずと判断して調査する価値があると言っています。
そして、オマハの動物園という例で登場するのがグレアムとドットが書いたバリュー投資の聖典「証券分析」でバリュー投資を学んだ門下生達の話が出てきてS&P500に勝ち続けるスーパー投資家が続々と登場します。
しかも、彼らは別々の銘柄に投資して市場平均に勝っているのです。
誰でも勝てるとは言えませんが、しっかり学べばバリュー投資は市場平均に勝つことができると思います。ただ、そこまでのレベルに自分が到達できないのであればインデックスファンドに投資するか、グレアム・ドット村の住人に投資を託すかどちらか選べばいいでしょう。
という事で、自分はグレアム・ドット村の住人を投資信託の中に探しているのです。
いまのところ「朝日Nvestグローバルバリュー株オープン」と「AIGワールド株式オープン」がそれですね。
日本株にもこれだ!っていうのがあればいいんですけどね。