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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

レオス×ミュージックセキュリティーズ交流サロンレポート(2)

レオスとミュージックセキュリティーズの交流サロンレポート2回目はレオスの藤野さんの司会でLIP 慎さんとミュージックセキュリティーズ 小松さんの対談からです。

最初に小松さんと藤野さんの出会いから。

・小松さんが自分のビジネスプランを持って藤野さんが当時勤めていたゴールドマンサックスAMへバイトとして入り、内線電話で藤野さんに連絡をとって自分のビジネスプランを聞いて欲しいと話したのがきっかけ

・ミュージシャンが成功するのは大変で、少しお金があっていいスタジオで録音できたりすると売れるかもしれないのに、そうはいかないのが現実

・一般の人が好きなミュージシャンに小額ずつ投資して応援できる仕組みをつくりたいという話を聞いて藤野さんも起業に際して応援した

・AK-67のようにファンドで応援しているミュージシャンがオリコントップ10入りするまでになった

・音楽以外の分野に進出した理由は田植えの会に参加して酒蔵の人と話すと酒蔵の人もアーティスティックな人でやっぱり銀行がお金を貸してくれないので、ミュージックセキュリティーズの仕組みを流用できるのではないか?と考えたのがきっかけ

続いて小松さんとLiving in Peace 慎さんとの出会い

・慎さんもドラムをやっていてお互いに音楽を通じた知り合いだった

・昨年11月にマイクロファイナンスファンドのセミナーを開いた際に小松さんを呼んだ

・国内金融機関の人がセミナーに参加していたので、ファンド組成をアプローチしてみたがトラックレコードがないのでいい返事をもらえなかった。しかし、小松さんに相談してみたら快諾してくれた

小松さんと藤野さんの出会いは出来過ぎってくらいドラマティックです。

自分のビジネスプランを実現するために話を聞いてもらおうとバイトとして潜入するなんて凄い熱意。

ちなみに投資的観点からマイクロファイナンスについてLiving in Peaceがリリースしているレポートはこちら

 ・マイクロファイナンスの商業化

 ・投資対象としてのマイクロファイナンス

マイクロファイナンスの現状に関するレポートと分散投資の一翼としてのマイクロファイナンスファンドについて書かれています。

続いて藤野さんから慎さんと小松さんへの質問

Q.家計に占める寄付(文化)の差は税制だけの問題?

・東アジアの国々はコミュニティの力が強い

・昔からお寺などがセーフティネットの役割を果たして来た

・もともと個人の寄付は根付きにくい社会的な背景があるのでは?

・ちなみにSRI投資の規模は欧米と日本で100倍差がある

Q.セキュリテの今後

・投資家の人が増えて、事業者も増えてある種のコミュニティを作りたい

・自分を社会起業家とは考えていない

・セキュリテをやりたい事業がある人へ資金調達する場として活用して欲しい

小松さんにとってはミュージシャンの支援も酒蔵の支援もマイクロファイナンスへの支援も全て同じ想いでやっているんだと感じました。確かにせっかくミュージシャン向けに作った仕組みを他に利用できるのであれば生かさない手はないですもんね。

そういう意味ではセキュリテの今後の展開にも期待しています。

Q.他に同業他社が生まれない理由

・ミュージックセキュリティーズにはそんなに儲からない事業をやりがいをもってやれる人が集まっている

・儲けようとして手数料を高くするとミュージシャンや事業者からの信頼を失ってしまうのでそんなに儲かる事業でもない

・給料が前職と比較して1/3になっても転職してくる人がいる

Q.マイクロファイナンスの将来的な展望について

・一部の大手金融機関にお金が集中してしまっている

・大手企業が投資する際に大手MFIが相手の方がサイズがとれて安心なので安直にそちらへ資金が向かう

・結果として大手では資金が余って無理な貸し付けも行われている

・成長途上の金融機関にはお金が集まらないので、そこへ投資することで生きたお金の使い方ができると考えている

・発展途上で理念のあるところと組む

質疑応答

Q.今回のファンドは全力でリターンを目指すものなのか?援助に毛が生えた程度のものなのか?

・完全にリターン100%で組成はしていないが最初のマイクロファイナンスファンドという事でリターンにはこだわっている

・現地との交渉も数ヶ月かけて行っているし、実際の貸し付けも人的支援を受けているMFIのノウハウが生かされている

・4大監査機関による監査が年4回

カンボジアでは月次レポートを国に提出するように義務づけられているのでレポートなどで財務状況のモニタリングを行う(LIP)

機関投資家ではない人が大手以外の金融機関へ投資するところが面白い点

Q.取扱手数料の流れについて

・出資金額の5.5%はミュージックセキュリティーズが手数料としていただく

・残額をCHCへ送金

・CHCとは最低で2,000万円程度の資金を送るという契約になっている

・LIPはアナリストレポートを定期的にアップしていく 最低年に二回は現地へ調査に行く

・ミュージックセキュリティーズとLIPへは運用期間中委託手数料が支払われる(用途はLIPのレポート作成や現地調査の資金、ミュージックセキュリティーズの運用コストなど)

Q.終了から分配まで時間がかかるのは何故か?

監査法人からのレポートを待って分配するために時間がかかる

・最後はしっかりやりたいのでお待たせしてしまう

実際に藤野さんが行っているカンボジアに学校を作るNPOの話できちんとやらないと現地は援助慣れしているので生徒の数を水増ししたりするなんて話を聞いてジム・ロジャースがNPO嫌いな話を思い出しました。

また、経済成長を促すには寄付ではないというのも自分としてはしっくり来ました。確かに援助が必要なくらい困っている人もいるけど、そこを抜け出したら次は貧困との戦いが待っていて、そこを抜け出すにはお金が必要。それを融資という事で応援できるのがマイクロファイナンス

単純な寄付ではなく、融資を受ける側も自立しないといけないところが気に入りました。

その他にも寄付じゃないので投資した資金は戻ってくるので3年後にまた別のマイクロファイナンスファンドへ投資することで資金を循環させ続ける事ができるというのもいい仕組みだなあと感じました。

セミナーの後、懇親会にも参加したのですがミュージックセキュリティーズ、LIP どちらの方も自分より若いんですよね。凄いなあ。

話をしていて色々刺激を受けました。

一口3万円で投資できるという事で、国際協力をしたい人もマイクロファイナンスに興味があるっていう人も投資目的の人も気軽に試してみる事ができる。

そんなところが個人的には気に入っています。

まずは日本初の仕組みという事でうまく回る事を祈っています。