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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

ワリバシカンパニー設立発表会に行ってきました

8月4日ハシの日に浜松町にあるエコプラザで開催されたワリバシカンパニーの設立発表会に行ってきました。 元はというと鎌倉投信の受益者総会で間伐材を使ったワリバシのプロジェクトを近々始めると聞いていたのと、ミュージックセキュリティーズが募集していた西粟倉共有の森ファンド関係でメールマガジンで開催を知ったのがキッカケでした。

ちょうどその日は夜の安全地帯のライブに確実に行けるように休暇を取っていたので、平日昼間の開催でしたが説明会にも参加できました。 割箸がダメで、マイ箸やプラスチック箸こそがエコという風潮がありますが、利用されていない国産間伐材を使った無垢な割り箸こそが真のエコであるというのが同社の主張です。 会場で配られた割箸のサンプル moreTreesの焼印が入ってます

まず最初に発起人の一人、池田正昭さんの話から。

ワリバシカンパニーについて ワリバシカンパニーとは国産の間伐材から割箸を作る会社。 まだ設立したばかりの会社だが、8月4日がハシの日だからという事で多少無理をして説明会を開催することにした。

今日配った箸は高級箸のサンプルだが、自分たちが主にやりたいのは一般に使われる元禄箸。 moreTreesの焼印も今回は人が押しているので多少曲がったりしているが、製品はきちんと機械で焼印を入れる。

リーフレットでは多少強引なところがあるがハシにちなんで84の疑問に答えると書いてある。 今日の説明会の最後に発表したい。

会場で配布されたリーフレット もともと、このプロジェクトは日本の箸を「和 RE 箸」にという取り組みをエコプラザで行っていた。 簡単にいうと日本の間伐材の利用方法として割り箸を作るというもの。

みなと和RE箸大作戦」 間伐材で割り箸を作るだけではなく、そこから更にオガコを作ろうというもの。 間伐材割り箸で良質の土をリサイクルすることができる。 間伐材利用促進の切り札として間伐材割り箸の普及を図り、それにより農家には良質のオガコが供給できるようになる。

今日はオガコや土の再生については時間がないので説明しないが、そこまでのサイクルを目指している。

なぜ割り箸が日本の森林整備および間伐材利用促進の切り札になるのか?

同じく発起人の一人、トビムシの竹本さんから。 昔の日本では40-50年のサイクルで皆伐を行ない、柱材を中心に多面的に利用していた。 また、20-30年の間伐材が内装材など多面的に利用されていた。

当時は皆伐、間伐両方で収益をあげることができたので森に間伐(管理)、植林(投資)も進んでいた。 結果として、森に人の手が入ることで明るく、植生豊かな森になり貯水機能も持っていたのがかつての日本の姿。

今は間伐材は柱などに利用されている他、ペレットなどエネルギー面でも期待されている。 ただし、今の日本の森林は木の太さが柱材として利用するには足りず、エネルギーとして利用しようとしても木を切ってそのままペレットにするのでは乾燥などの手間を考えるとコストが合わない。

結果として間伐材の利用が進まず、補助金を使って間伐を行ったとしても利用されず森に野ざらしにされている。 結果として鬱蒼とした暗い森になってしまった。 日本の森林は戦後に植林された若い木がひしめいていて、稼ぎ手となる樹齢の木が少ない。 大学生の子供が3人いるようなもの。もう少しで楽になるが、一番厳しい時期。

もう少しで収益化が見込める状況であるが、収益化するためには間伐をして木を太くする必要がある。 また、今の木が収益を生み出すまであと10年くらいかかるが、それまでの収益を確保する方法も必要。 いきなり間伐材をエネルギーにしようとしてもその為のエネルギーが必要になってしまう。

ただし、何かに使って、そこからまたに何かにするという再利用であればコスト的にもエネルギー的にも見合う。 間伐材割り箸「和 RE 箸」にすることで、(太さの足りない)小径木や曲がった木でも間伐してそこからキャッシュを生み出すことができるようになる。更に、和 RE 箸を破砕してオガコを作り出す。 これまでできないと言われていた小径木の割箸に成功した。

端材利用を促進することで更なる収益機会やエネルギー、物質の有効利用が可能になる。 間伐材のこれからは40-50年の間伐材を割り箸の原料として利用することができるようになる。 日本では一年間に約250億膳の割り箸が利用されているが、これを全て国産間伐材にすると100万平米に相当し、これは日本で間伐されたまま放置されている400万平米の1/4に相当する。

これまでただ捨てていた木から収益を上げることが出来るようになる。 間伐材→割箸→オガコ→堆肥→有機野菜という間伐材割箸から良質の土をリサイクルする仕組みを実現したい。 ここでまた池田氏にスイッチ。

 

ワリバシカンパニー設立までの道のり

B材、C材の小径木から割箸を製造する技術を開発。 国産間伐材を使った割箸日産50万膳のプラントを年内に三ヶ所で稼働。 数年のうちに全国に30箇所のプラントを建設する計画。

2002年  NPO法人アースデイマネー設立
2007年  moreTrees設立
2008年  エコプラザ設立
2009年  トビムシ設立  

飛騨高山の畜産農家藤原孝史氏がエコプラザを訪れ、割り箸からオガコを作ることを着想  和RE箸大作戦を始動したが、事業仕分けにより1年で補助金はなくなってしまった。割り箸製造技師の尾崎浩廉氏と出会い、小径木からの割り箸作りをしたいと頼み込んだ。

小径木で割箸を作るまで

続いて割箸製造技師の尾崎氏の話。 小径木での割箸の作り方  

1.木が柔らかいのでまずは板状に裁断
2.一定温度で茹で上げる
3.柔らかくなったところで裁断
4.面取する

2009年5月15日に箸を集めて粉砕したいが人が口をつけたものなので殺菌はどうすればいいか?という相談が来たのが最初の出会い。釜に入れて茹でるのが一番だと答えた。

その後、箸を集めてもオガコにするには足りないので間伐材から箸を作りたいと頼まれたときに何も知らない人は怖いと思った。

箸になる木の条件として1.色が白い 2.目が細かい 3.節が少ない この3つを満たす必要があるが、間伐材では全くその要素がないので無理に感じた。

ただ、自分の考えだけでダメだと言っても納得しないだろうからやれるだけやってみてこんなものしか作れないと言うつもりが、出来てしまった。 死ぬまで箸に携われれば本望。

ワリバシカンパニーの協力機関の紹介

moreTrees  坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏、中沢新一、桑原茂一5名の発起人と100名以上の賛同人によって設立された健全な森を増やそうという一般社団法人

 適正に整備された森林で間伐された材の証明の発行(割箸にmoreTreesの焼印が押されます)

鎌倉投信 新井さん  
日本の中でいい会社を増やそうという活動を行っている。  鎌倉投信ではワリバシカンパニーを応援する。  日本で唯一愛だけで金融をしている会社(トビムシ竹本氏談)

・アイエスシーアドバイザー?  
運用益の一部を社会貢献に向けるようにしている。  ファーストペンギンプロジェクトと呼んでいる。由来はペンギンは最初のペンギンがシャチに襲われずに帰ってくると一気に続いて海へ飛び込む様から。最初のペンギンであろうとしている。

ミュージックセキュリティーズ
トビムシとしては西粟倉村共有の森ファンドでもお世話になっている。 ワリバシカンパニーでも参画方法を検討中。 事業者の方であれば和Re箸を使っていただく事が応援。 一般の方でも応援できるようにファンドを準備中。ワリカンファンド。

募集金額は割り箸工場2拠点で1年間の間伐材購入費用に相当する8,400万円を予定。 一口2.5万円で投資期間は2〜3年の予定。投資家特典として割り箸250膳を送付するのであちこちで宣伝して欲しい。

ちなみに、一口2.5万円で出来る事は  ・約3tの間伐に寄与  ・森林施業員の半日から1日程度の仕事を創出  ・製品割箸10.000膳の供給が可能 こんな感じです。 日本の森と地域が元気になる仕組みということでした。

ミュージックセキュリティーズの会社紹介

同社の神谷さんから一般の人向けにファンドを組成するミュージックセキュリティーズの会社を紹介。 元は社長の小松さんが音楽をやっていてレーベルに人からこういう風にするといいよと助言されたところから、ありがたい助言ではあるけれども、ファンの人に支えてもらうことでもっと自由な音楽が出来るのではないか?と考えたのが始まり。

現在もレコードレーベル事業をやっているが、酒蔵の人の話を聞いて酒蔵もアーティストだという事で、ミュージシャンをファンが支援する仕組みを酒蔵を応援する仕組みに応用した。現在ではレストランやマイクロファイナンス、サッカーチームなども対象としてセキュリテという仕組みを作った。

頑張っている人と応援したい人をつなぐのがミュージックセキュリティーズの役割。 もちろんしっかり事業者には利益を出してもらって配当金を出すのも大事だけれども、それだけではなく応援したいという思いを持って投資している人が多いのが特徴。

最後に84の疑問に全て答えるコーナーがあって終始和やかな雰囲気のまま終わりました。 最近よく見るプラ箸は現在割り箸の主力輸入先である中国から割り箸を安定供給できないために導入されたものだとか、その原因は中国製の割り箸の原材料であるシベリアの木材が地球温暖化で氷が溶けてしまったために氷の上を滑らせて運搬することができなくなった為なんていうトリビアちっくな知識も初耳でした。

他には、いい土で育てたキャベツは五角形になるが、割箸再生オガコから作られた堆肥で育てたキャベツもそのようになるのではないか?という話があり、キャベツって丸いのが普通じゃないんだなってのも驚き。(みなと和Re箸大作戦とは にもこの話は書かれています)

他にも、竹箸について防カビ剤を使っていない竹箸ってあるんですか?なんていうのも初耳です。 84の疑問は9月中旬にはHPにアップ予定ということでした。最後は割と強引な疑問もありますが、結構面白いです。

ワリバシカンパニーでは1膳2.5円で国産間伐材を使った無垢の割り箸を提供するそうです。 林業再生だけでなく、オガコ不足に悩む畜産農家にとってもメリットのあるこの仕組、ファンドが募集されたら僕も一口出資して応援したいと思います。

終わったあとに懇親会があったのですが、残念ながら次の予定があったので参加できず。 でも、間伐材の利用促進と新しいサイクルを産み出そうという思いが伝わるいい会でした。

是非、ワリバシカンパニーのHPにあるマニフェストにある「日本の森を再生する」「オガコ不足を解消する」「日本の土を再生する」という三つの取り組みについて読んでみてください。