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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

ひふみ投信 第三期決算 運用報告会へ行って来ました

11月26日(土)にレオス・キャピタルワークスで開催された「ひふみ投信 第三期決算 運用報告会」に行って来ました。

(第三期運用報告書はこちら

運用報告会は最初にファンドマネージャーの藤野さんから運用報告が1時間、運用先の会社紹介という事でGMOペイメントゲートウェイの相浦社長のお話が1時間、ひふみ投信に関する質疑応答が30分、最後に懇親会という流れでした。

【ひふみ投信の概況(2011年9月末)】

 純資産額     14.9億円

 口座数      1,805口座

 定期定額口座比率 56.6%

第一期(2009年9月末)627口座→第二期1,223口座という事で毎年600口座ペースで増えているようです。

定期定額口座比率に関しては56%→51%→56.6%と昨年落ち込んだところから回復傾向にあります。

半分以上が積立をしている事になるのですが、草食投資隊として一緒に活動しているコモンズ投信やセゾン投信と比較すると少なめに感じます。(世間一般からするとこれでも驚異的な数字ではあるのですが

【運用実績】

 第三期 +11.7%

 (参考:TOPIX -8.2%)

第三期の運用実績はプラス11.7%でした。

この成績は投信評価の外部機関であるモーニングスターの中型ブレンドカテゴリー34本の中で1位の成績でした。

また、3年の成績でもプラス7.58%で同じくモーニングスターの中型ブレンドカテゴリーで1位の成績です。

モーニングスターによるひふみ投信に関する評価分析レポートは→こちら

【実質コスト】

 1.638%

第二期(1.525%)、第一期(1.311%)と比較するとコストは増えました。

要因としては市場が不安定だったため、売買を繰り返したことによる売買手数料が嵩んだことがあげられます。

今期の回転率が1.895と約2回ポートフォリオが入れ替わるくらい売買がありました。

割と回転率の高いファンドではありますが、株の短期売買というよりもキャッシュポジションの調整という意味合いでの売買が多いためにこのような結果になっています。

【今期の分配原資】

 配当収益  約1650万円

 売買益   約930万円

ベンチマークというわけではありませんが、日本の市場という意味でTOPIXが-8.2%という中でこれだけの利益を出したのは立派です。

そして、売買益よりも配当益の方が多いんですね。

ひふみ投信では分配金は今期も出していません。

分配金再投資型の投信ですし、出来るかぎり分配金は出さない方針を続けて欲しいです。

【ひふみ投信の顧客像】

性別:

 男性 81.3%

 女性 18.7%

セミナー参加者の顔ぶれを見ても感じるのですが、ひふみ投信は男性の比率が高いです。

藤野さんも、何の不満もありませんが男性の比率が高いですと話していました(笑)

それでも女性の比率は第一期15.8%→第二期17.5%→第三期18.7%と着実に増えつつあります。

ちなみに、運用報告会の参加者は全員男性でした(笑)

年齢別:

 19歳以下  2.3%

 20代    10.0%

 30代    36.0%

 40代    29.8%

 50代    14.2%

 60代    6.9%

 70歳以上  0.8%

40代以下で約80%を占めています。年代別比率はさほど変わっていません。

40代以下は日本の金融資産の20%を占めていますが、既存の金融機関がアプローチを行っていない層でもあります。

居住地別:

 北海道/東北  6.98%

 関東      55.84%

 中部      9.75%

 北陸      2.55%

 関西      12.80%

 中国      3.66%

 四国      1.44%

 九州/沖縄   6.98%

新幹線のぞみが停車する街は投資に対して開放的で口座開設者が多い傾向にあるそうです。

日本海側と四国が少ないですが、九州/沖縄は結構比率が高いですね。この辺も面白いデータです。

【平均積立額】

 21,555円

第二期は20,218円と第一期25,237円と比較して落ち込みましたが、回復傾向にあります。

運用実績を積み上げたことで最初は様子見だった人が増額したりする傾向が見られるそうです。

【運用上のトピック】

東日本大震災の前日に地震を予測したのではなく、株価の下落リスクを感じ取って株式の売却して現金を作っていました。

震災直後も1日目は更に株を売って現金化し、2日目に更に株価が下がった所を銘柄を入れ替えて一気に買いに入っています。

また、8月の世界同時株安も7月末に現金比率を引き上げ、下落相場の中で安くなった銘柄を買っています。

銘柄選択の面では3.11を境にそれまでの内需、外需のバランスのとれたポートフォリオから震災後の新しい価値観(クリーンエネルギーやクラウド、持つから持たない経営)に合致した銘柄への切り替えを行いました。

これにより、震災後早い段階で震災前の水準まで基準価額を戻す事になりました。

更に最近では欧州危機後の世界観を意識したポートフォリオの組み替えを考えているそうです。

【運用について】

2001年9月から2011年9月末までの10年間でTOPIXは-26%でした。

2001年9月に上場していた企業のうち、どのくらいの企業の株価が上昇していたでしょうか?

答えは約60%です。

TOPIXに投資するよりも銘柄を適当に選んだ方が良かった事がわかります。

また、経団連の会長、副会長を勤めている18社のうち、この10年で株価が上昇したのは4社(コマツ三菱商事新日鉄トヨタ自動車)。

要はTOPIXの値動きに影響を及ぼす大企業の株価が上昇していないという事になります。

ちなみに過去10年で株価が上昇した銘柄のうち時価総額3,000億円以上の企業はわずか4.3%にすぎません。残りの95.6%は時価総額3,000億円未満の中小型株です。

通常のアクティブ運用は時価総額の大きなところから投資するか?しないか?を判断して中小型株への投資は行いません。

成績の良くない大型株の中で銘柄選別を行っていてもいい結果は生まれないが、ひふみ投信は時価総額にこだわらず、1から企業調査を行い銘柄選別を行っている。投資対象の範囲が広い分、株価が騰がる銘柄を発掘しやすいという事でした。

藤野さんは超アクティブ運用と呼んでいました。

レオスでは創業当時からコンピュータを使って銘柄の発掘に役立てています。

全上場企業の定量的なスクリーニングを行うRSMと相場のおおらかなサイクルをモニタリングするためのRMDI。

RSMでスコアが上位の銘柄について企業訪問し、投資判断を行います。

投資の基本観はトップダウンボトムアップの融合。

GMOペイメントゲートウェイ 相浦社長のお話】

第二部は投資先企業の紹介という事でGMOペイメントゲートウェイの相浦社長のお話をお聞きしました。

IBMの営業マンだった相浦社長は現在でもIBMからトップセールスマンや技術者を引き抜いてきたりしてIBMイズムを生かした経営をされているなと感じました。

GMOペイメントゲートウェイはEコマースにおける決済手段を提供している会社で、楽天市場やZOZOTOWNのようなインターネットショッピングに留まらず、最近では水道料金やNHKの受信料のクレジットカード決済など多分野にわたってサービスを提供しています。

様々なカード会社やコンビニなどでの決済手段を手にしているため、他社が参入しようとしても同じようなサービスを提供できるようにプラットフォームの整備に時間がかかり、参入障壁は高そうです。

また、決済という事でセキュリティには気を使うことと思いますが、ISOなどの規格に準拠するのはもちろんのこと、しっかりと社員教育を行うことで対応しています。IT企業の現場にいる人間の実感としてISOやISMSそれ自体にさほど意味は無く、現場の人間がどれだけモラルを持って行動するか?が最大のセキュリティだと感じているので(外部から侵入されるより内部犯行、ミスの方が件数としては断然多い)、教育にもの凄く時間と情熱を傾けているのはいい事だと思いました。

とても情熱的な社長でただ単に決済手段を提供するだけでなく、どうやったらより多く決済してくれるか(お客様にとっても売上が伸びるか?)を一緒になって提案する営業がいたりまだまだベンチャー精神が溢れる会社だと感じます。

まだ時価総額が小さいからとこういう会社を見逃してしまうのはもったいない!

個性的な社長のお話を聞くと、ビジネスマンとして感ずるところもありますし、刺激を受けますね。

今年に入って自分もひふみ投信の積立額を増額しましたが、今後の運用にも期待しています。

最後になりますが、運用報告会をTwitter中継したもののまとめです。

【関連HP】

 ひふみ投信(レオス・キャピタルワークス)

ひふみ投信