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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

レオス×セキュリテ共同セミナー「お金とものづくりのいい関係」

1月19日に行われたレオスキャピタルワークス「ひふみ投信」×ミュージックセキュリティーズ「セキュリテ」の交流サロン第3回 「エコノミー・フォー・オーガニック お金とものづくりのいい関係」に行って来ました。

今回は神亀酒造の小川原専務のお話を聞けるという事ですごく楽しみにしていました。

今、日本で純米酒づくりに一番こだわりを持ち、しかも自分の蔵だけでなく10年、20年先の日本酒についても考えて行動されているのは素晴らしいです。

以前、神亀酒造について書かれた闘う純米酒 神亀ひこ孫物語を読んで以来、すっかり小川原さんのファンになりました。

ミュージックセキュリティーズでやっている純米酒ファンドも小川原さんを中心にやっているという事で安心して応援(出資)しています。

そんな小川原さんのお話と、レオスキャピタルワークスのひふみ投信、ミュージックセキュリティーズで募集中のファンドについての説明などであっという間の2時間でした。

戦後の風潮として合理化を進めるあまり、本来熟成させて良い栄養素が生まれるはずのものをすぐに出荷して現金化しようとしてしまった為に日本が古来持っていた素晴らしい食文化が失われたというのが、昨日の話を聞いてなるほどなと思いました。

日本酒、味噌や醤油や味醂なども本来は時間をかけて熟成させてあげると味も良くなるし、体にもいいものになるのに今ではそういった本物の食材がなかなかないというのは勿体無い話だなぁと。(そういえば小川原さんが味噌は賞味期限が切れてからが

金融機関が在庫ではなく、しっかりと熟成時間だと認めてくれて、それに応じた融資をしてくれればどれだけ多くの酒蔵などが助かるのかという切実な問題も伝わりました。それにしても、アル添した酒が1年しかもたないので日本酒は1年を過ぎたら在庫という考え方は純米酒がそれなりの存在感を持ち始めている現在において、なんて時代遅れな考え方なんだろうと思います。

できれば、熟成期間中は金利を最低限にして、売り出し始めたら金利を2.5倍というような形でも良いので醸造〜熟成〜売り出しというサイクルに則った金融システムが整備されるといいとおっしゃってましたが、本当にそう思います。

微力ですが、純米酒ファンドを通じて少しでも酒蔵の力になれたらというのが懇親会で話していた周りの人との共通認識です。

小川原さんの話ではファンドに出資してもらって、作る側も意識が変わったという事です。

1号ファンドで作られたお酒が来年売り出しに出るけれども、これまでとは違う、期待して欲しいというような事をおっしゃられていたのでそちらも日本酒ファンとしては楽しみです。

当日はセミナーの様子をtwitterでも中継してみたので、それをこちらにまとめました。

話を聞きながら、頭の中でまとめて、140字という制約の中で書き出しているので、ニュアンスが違っている場合もありますが、その場合はご指摘下さい。

ここから、twitter中継した内容です。

  • 19:06  藤野:日本の食文化やお酒について神亀酒造の小川原専務からお話いただきます。 #DMToshin
  • 19:10  小川原さんの話が始まりました。なぜ純米酒に取り組むようになったのか?戦後日本の食糧難の際にアルコール添加という日本酒を冒涜するような事が勃発したのが昭和18年頃。とにかく飢えをしのぐのが先でしかし楽しみも必要という事で1の酒を3に増やす方法がとられた。#DMToshin
  • 19:12  米余りの現在においても純米酒の生産は10%程度。最初は白ワインに負けたくないという想い。三倍増醸酒で嫌なのが味の素を入れ、ブドウ糖を入れお酒を飲ませると翌日体に残る酒になってしまう。 #DMToshin
  • 19:14  毎年秋に仕込みの計画を役所に提出するときに純米酒を作ろうとすると却下された。前例がなかったので。大学最後の年に農大に行っているので集大成としてなんとか作らせて欲しいとお願いしたらやっと1本だけ認められた。翌年からは前例ができたので認められるようになった。 #DMToshin
  • 19:17  戦前はタンパク質やアミノ酸を含む良い食品があった。戦後、醤油や味噌、酢などのそういった製造業は無くなっていった。なぜか?在庫に関して厳しい見方をされるようになったのが原因ではないか?味噌屋さんで蔵に大豆が入って1週間で出荷されるような合理化をしている所があった。#DMToshin
  • 19:20  本来の出汁の文化がなくなり、安直な味付けをする風潮が広まっている。悪い方に向かっている食文化をなおしたいが、オリンピックに勝つために肉を食べるように食文化を変えていった。#DMToshin
  • 19:22  正しい酒つくりをしている蔵で1億円程度の規模で1,500万円ほどあれば大丈夫なのだが、銀行から融資を受けるのが大変。銀行の人に2時間、新酒から熟成の進んだ酒を飲み比べてもらってやっと酒屋の在庫は不良在庫ではないことを理解してもらった事例が1件だけある。#DMToshin
  • 19:25  金融は食品の在庫について熟成時間として見てもらえないという問題があった。銀行にワインだと在庫を熟成時間と認めてくれるのに、なぜ日本酒はダメなのか?金融庁が1年と決めたから。混ぜ物したお酒は1年しかもたない。#DMToshin
  • 19:26  軟水でつくると2年で飲み頃、硬水で作ると3年以上で飲み頃になる。ワインだとよく知られているが、日本酒もそういうものだというのを知ってもらいたい。#DMToshin
  • 19:29  ミュージックセキュリティーズの小松さんに出会って、熟成に2年、売りに出すのを1年から1年半見た資金があるとという話をしたところ、やってみようという事になった。5年間で全量純米にするという会を立ち上げた。 #DMToshin
  • 19:31  純米を進めようという会は過去にもあったが発起人の蔵ですら純米化が進まなかった。そのため、5年で純米化するという会を起こした。ただ、仲間の資金をどうしようかと考えているときにミュージックセキュリティーズさんとの出会いがあった。#DMToshin
  • 19:33  ただ、まだファンドという仕組みをハゲタカファンドのように思って理解してもらえない社長がいるために参加できていない蔵もある。現在はファンドで凌いでいるが、全部の会社のお金が賄えているわけではない。できれば通常の金融に貸出条件を考えて欲しい。#DMToshin
  • 19:35  材料を仕入れて出来上がるまで2年くらいかかる。銀行には最初(熟成中)は金利最低限、売り出ししてから金利を上げるような仕組みを考えて欲しい。中小の酒蔵から日本の食文化を取り戻すきっかけになれば。#DMToshin
  • 19:37  農家の生産意欲も上がるので、できるだけ国産の材料を作りたい。今日も兵庫県山田錦の値下げをしてきたと徳島の全農から相談があった。徳島は一生懸命やってくれているので値下げしなくていいので頑張ってほしい。ファイトマネーだと。日本一高い米でも品質が上がってくれば良い。#DMToshin
  • 19:39  一番使う蔵で3,000俵、自分たちで1,600俵程度。200円程度の差であれば大きな金額でもない。酒やみりんなどでいいモノを口にするようになれば健康にもなる。カツオブシに含まれるアミノ酸が非常に体に良い。実はカツオブシも本物は熟成に3年かかる。#DMToshin
  • 19:43  小川原さんのお話終了。続いて藤野さんからひふみ投信の紹介。#DMToshin
  • 19:44  投信のムダともったいないをなくしました。#DMToshin
  • 19:45  投信を作って直接販売しています。農作物の直売と同じように安くて良いものを提供できる。#DMToshin
  • 19:45  ローコストを実現しました。
  • 19:46  日本初の仕組みでさらにコストをおさえました。5年以上保有で信託報酬の実質割引をしている。5年で0.2%、10年で0.4%。#DMToshin
  • 19:47  柔軟な運用の仕組み。 熱いコミュニケーション ひふみサロン メールマガジン ひふみ便り #DMToshin
  • 19:50  ミュージックセキュリティーズの説明 #DMToshin
  • 19:51  もともとはミュージシャンが音楽CDを作るのを支援していた。いい会社、いい仕事をしている人、そういったものに出資したい人とをつなぐ事業をしている。#DMToshin
  • 19:53  まもなく全量純米蔵ファンド2009が募集予定。純米酒ファンドには2種類あって、特定の蔵向けのものと、全量純米蔵を目指す会参加蔵への出資するファンド。今年は昨年より3蔵増えて14蔵の予定。阿波山田錦を購入する資金を調達して、その米で純米酒をつくる。#DMToshin
  • 19:54  同じ米でも蔵によって違う味を楽しんで欲しい。#DMToshin
  • 19:55  林業を支援するファンド。日本の場合は植林より木が使われない事が問題。岡山県西粟倉村の林業に投資。#DMToshin
  • 19:56  岡山県倉敷市のジーンズ作りに出資するファンド藍染めを使って一生はけるジーンズを作る。#DMToshin
  • 19:58  カンボジア貧困層向け貸付をする銀行(マイクロファイナンス)へ出資するファンド。現地で資金調達に苦労しているので日本からまとめて出資する仕組み。#DMToshin
  • 19:59  その他に東京ヴェルディを支援するファンドiPhoneアプリ開発を支援するファンドなどがある。#DMToshin
  • 19:59  これから小川原専務、藤野さん、小松さんによるディスカッション。#DMToshin
  • 20:01  小川原さんへ質問。投資信託を買ったことはありますか?#DMToshin
  • 20:02  小川原;ありません。余分なお金があったら良い米を買えと考えている。#DMToshin
  • 20:03  藤野:ひふみ投信はお金がある人ではなく、お金がない人向けの投信。月々1万円から積み立てができる。既存の金融はお金のある人がお客様。私たちはお金がないあなたこそがお客様。今は月1万円からだが、いずれは最低金額を下げたい。#DMToshin
  • 20:04  酒造りで大変なこと、やりがいのあることは?#DMToshin
  • 20:06  小川原:職人を育てるのが大変。機械化すると酒を理解する職人がいなくなってしまう。次の世代の事を考えて機械を導入せず人の手で作っている。本当はうちの蔵も5人くらいでいいが、体験で育てるために9人雇っている。10年、20年先を考えると必要なこと。#DMToshin
  • 20:09  藤野:良い会社の法則を探していた。最近わかったのは、これをやれば成功するって法則はないこと。#DMToshin
  • 20:11  藤野:一所懸命やっている人といつもサボっている人を比べると後者に賭ける人はいない。失敗するから。ダメな会社に投資せず、真面目で熱心な会社に投資すればそうでない会社よりも長期的には良い成果が出るのではないか?#DMToshin
  • 20:12  小松:良い米や農家を見分ける方法は?
  • 20:15  小川原:今までの農家は多収をあげた農家が偉かった。酒米は違う。多収を目指すと酒に向かない米ができてしまう。酒に使う米はこういうものだというのを時間をかけて農家に説得するしかない。 #DMToshin
  • 20:15  徳島の農家もいい米をつくるまで10年くらいかかった。江戸時代からの300年以上の意識を変えるのは大変。 #DMToshin
  • 20:16  小松:長期投資、熟成するのが大事だと思うが普通に作るよりも難しかったり特殊なノウハウがありますか? #DMToshin
  • 20:17  藤野:長期投資は意外に難しい。よく誤解されるがファンドマネージャーが全てではない。1/3程度。残りはお客様の考え方、運用会社の哲学も大事。#DMToshin
  • 20:18  お客様もファンドマネージャーも長期投資のつもりでも運用会社の哲学が長期投資でないと長期投資とはいいつつ、すでにあるファンドは放置して新しいファンドを作る。日本のファンドのほとんどはなんの魂も入っていない状態ではないか?#DMToshin
  • 20:20  ピークの時にお金が入ってきて、下がってきたら別の商品への乗り換えをさせる売り方をしている。でも本当は安いときにこそ買わないといけない。長期にコミットメントしてやっていくんだという事で今、やっている。#DMToshin
  • 20:20  小松;寝かすための作り方の違いや気を付ける点について#DMToshin
  • 20:21  小川原:酒は出発が大事。全身全霊を込めて酒をつくれば強いので放っておけば良い。ワインは飲めなくなるが、日本酒は世界中で一番強い。#DMToshin
  • 20:22  いい酒は熟成に回してもそんなに気を使う必要はない。最初に魂の入っていない酒はどんどん劣化してしまう。#DMToshin
  • 20:28  小川原:純米酒の教科書がなくなったが、3人の先生に出会って本当の純米酒の作り方を学んだ。それを教え込んで評価されるようになると他の蔵から息子を預けられるようになった。蔵の労働環境を考えると必ず戻ってしまうのでいいとは言い切れないが、先のことを考えてやっている。#DMToshin
  • 20:29  お酒のおいしい飲み方、投信のおいしい持ち方について #DMToshin
  • 20:32  小川原:酒だけで飲まないでください。物を食べながら。お酒を長く楽しんでもらうためには体を冷やさないこと、お酒を分解するときに肝臓を使うので肝臓の栄養源を取る、お酒は食べ物の本当のおいしさを引き立てるものであると考えている。#DMToshin
  • 20:34  14かた酒を飲んでいるが、一升瓶換算で4,000本飲んでいるが冷たい酒は飲まなかった。祖母が冷酒だけは飲まなかったから。胃でアルコールを吸収するには温度を上げる必要がある。冷えた酒は胃で吸収されてから腸に行って、そこから血中アルコール濃度が上がるので体に易しい。#DMToshin
  • 20:35  藤野:小さく、ゆっくり、長く 手に汗をかくような投資はギャンブル。#DMToshin
  • 20:36  景気は必ず循環するのでゆっくり長くやってみると投資が何なのか少しずつわかってくるのではないか?投資のある生活を楽しんで欲しい。#DMToshin
  • 20:39  会場からの質問:人や食べ物に対する愛情が伝わってきた。そういったエピソードがあれば。
  • 20:42  子供の頃祖母に「おいしいものは一人で食べるな、みんなで食べろ」と教わった。祖母が戦中戦後、蔵を守ったというのがある。宮様でもできない仕事をするんだよと言われた。#DMToshin
  • 20:44  会場からの質問:いいものを作っても売ることができない企業が多い中、それを普及させないといけないと思う。その普及の仕方について #DMToshin
  • 20:48  すべてのものを見てもらってからの取引なので、東京に戻ってからも紹介してくれたりするようになった。あまりにも蔵見学が増えすぎたので、現在では止めたが、お酒好きな人で人りではなく大勢ではないという条件で続けている。#DMToshin
  • 20:49  終了しました。#DMToshin
  • 23:07  懇親会終了しました。
  • 23:11  最初から日本酒だったので、少し酔いましたが、小川原さんから日本酒業界について色々聞けました。
  • 23:23  全量純米蔵を目指す会に入ってても社長の了解が取れずに抜けてしまう蔵があったり、純米酒ファンドに参加は抵抗があったり様々。色々大変だけどおいしい日本酒を造る酒蔵を僕は応援します!
  • 23:29  今日の懇親会は最初からずっと燗酒。日本酒好きな人達とも知り合えて幸せ。やっぱりみんな日本酒好きだから酒蔵の現状を聞くと応援したい気持ちになってました。
  • 23:29  今度は新丸の新八にも行ってみます。
  • 23:34  お酒は燗酒で飲むと体に負担がかからないメカニズムと、生酒は燗酒にしてはいけないって事、生酒以外は冷蔵庫に入れる必要なし(但し、魂の籠もった造りの酒に限る)って学びました。
  • 23:54  神亀で地元埼玉の米を使えないか?って質問に仕入れに際しての資金の支払いの問題で難しいと仰ってました。本当は神亀のような酒蔵にこそ埼玉のお米を使って欲しいのに残念。