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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

第二回 eMAXISブロガーミーティング(2)

eMAXISブロガーミーティングの続きです。

2.インデックス運用について

三菱UFJ投信のパッシブ運用部では29,000億円を運用している。

これは全体の約半分に相当する。

ちなみに人数は4チームで11名。金額に比較して意外に少ない印象を受けました。

インデックス運用で大事な点はいかに完成度の高いミニチュアモデルを構築するか。

精巧なモデルをつくると連動性は高まるがコストがかかり、コストを抑えすぎると連動性が失われるのでちょうどいいバランスで運用するセンスが問われるという事でした。

日々資金が出入しているので、無駄なキャッシュポジションが発生して連動性が損なわれないように調整していくのが毎日の仕事。

インデックスに完全に追随しようとするとコスト分マイナスになる分を連動性を高めるために内株であれば貸株、海外株では先物を利用したりして連動性を高める工夫を凝らしている。

3.運用報告

eMAXISの費用についてブログで話題になっているので調べてみた。

P6までは運用部で書いているのでしっていたが、それ以降は管理部門投信協会規定に乗っとって算出した値。

今回の場合は簡便法で計算されたコストが実際よりも過大な値として現れてしまったケース。

運用サイドとしては毎日の基準価額が全てのコストを含んだ結果であり、それ以外のコストがかかっているという事はない。(隠れコストはない)

毎日決算を行っているようなもの。

決算日の関係で今回は10月、11月、12月の3回の口数で費用を割っているが、?マザーファンド組成直後だったため ?急激な資金流入があった ために実際よりも少ない口数で大きな取引コストを割ることになった。

これから時間がたてば、割る分母の値も大きくなっていくので見た目は小さくなる。

実際のコストについては運用報告書の4ページにある通り0.2%程。

ただし、これも単純に4倍すればよいというわけではなく、相場の状況や資金の流出入の状況によって変わってしまう。

大きなファンドになれば差は小さくなるが、設定当初は大きめに出てしまうのは仕組み上仕方のないところ。

詳細はブロガーミーティングの資料を三菱UFJ投信さんが後日公開するのでそちらを見てください。

この運用報告書ですが、コスト要因について組み入れ比率要因/銘柄選択要因/取引コスト要因/その他配当など要因と事細かく書かれていて、運用の実態をしっかり投資家に伝えようという意思が感じられます。

最後の方はコスト要因について色々確認するのに終始した形になり、よほどの投信マニアじゃないとついていけない世界になっていましたが、とても楽しめました。

本当にあっという間に時間が過ぎたのに驚きです。

また、質疑応答でベンチマークは配当除くインデックスを設定しているが、実際の運用は配当込みインデックスへの連動を目指していると聞いたが乖離についてはどう思うか?という質問に対して、配当込みインデックスは一般の人向けに公開されていないので、わかりやすさを重視してベンチマークに採用しているという事でした。

ただし、運用自体は配当込みインデックスに連動するように運用されているので、無理に配当分を薄めたり分配金として吐き出してしまうという事をせず、ベンチマークとは乖離するのを受け入れているというのが実情のようです。

投資家としても配当込みに連動してくれた方が確実に配当除くインデックスよりは上方乖離するはずなので嬉しいですよね。トラッキングエラーに注目する人にとっては迷惑かもしれませんが・・・

感想

投信会社側からネット証券の資金と確定拠出年金が同じ様な金額規模なのでeMAXISも同じような比率で売れると思っていたという話がありましたが、この辺りは投資家サイドとは意識がやっぱり違うんだなと感じました。

インデックスファンドを、しかもeMAXISを買うような人はコストに注目している人なのでこれはeMAXISが安いから買うけど、これはさほど差が無いから乗り換えないとかそういった割とドライな人が多いと思います。

特に、自分でファンドを組み合わせてポートフォリオを作ろうとしている人でしょうし、eMAXISだけにまとめてもこれといってメリット無いんですよね。

これが販売手数料のかかるファンドであれば同一シリーズ間のスイッチング手数料無料というメリットも出せると思いますが、ノーロードですし。この辺りは購入する投資家層を考えると一本釣りされても仕方のない面だと思います。

ただ、eMAXIS=低コストのインデックスファンドというイメージが世の中に定着すれば、新規にインデックス投資を行う人は全てeMAXISのみで構成してくるという事も考えられますので、徐々に変わっていくものだと思います。

追加アンケートに出てくる商品についても、正直全世界インデックス以外は興味ないものばかりでしたし。

アメリカはあっても良いかと思いますが、欧州インデックスという形でまとまったものが無いのであればいらないかというのが感想です。イギリス、ドイツって個別にされても扱いに困るし、きっと長生きできず償還されます。

また、新興国についてもインデックス投資家は個別の国ってたぶんあまり興味がないのではないか?と思います。インデックス投資家に支持されたいのであればもう少しまとまった単位で組成した方がいいのではないでしょうか?

商品も金、プラチナ、パラジウムよりもなんらかの商品インデックスの方が受けがいいと思います。

目先売れるかどうか?が大事なのか、インデックス投資家に支持されて長く売れ続けたいかでも違ってくるはずです。

ファンドマネージャーの方とお話させていただいても、とても誠実に対応していただけましたし良かったのですが、個人投資家の望んでいる事という意味では販売会社でフィルタリングされている為なのか温度差を感じました。

でも、こういった場を積極的に設けていただいて意見交換を繰り返すことで投資家の声を直接運用会社に届ける事もできるのかな?という意味でとてもいい場だったと思います。

最後になりますが、このような場を設けていただいた三菱UFJ投信の皆さん、AMNの皆さん、司会のイーノさん、どうもありがとうございました。

マニアックになりすぎて次回のネタが大変かもしれませんが、またこういった場が開催されることを期待しています。