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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

一業種一社シリーズ社長密着6時間(セゾン投信 中野晴啓)

川崎さちえさんが書かれた『一業種一社シリーズ社長密着6時間(投資業界編 セゾン投信 中野晴啓)』を読みました。

直販投信で有名なセゾン投信の中野社長のロングインタビューをまとめたものという事で、どんな事を話しているのか興味があったんです。

この本を読むと本当にセゾン投信のファンになってしまいます!

中野さんが元々はジャンクボンドの運用をしていたって事から、幻のセゾン投信の立ちあげなど今まで知らなかったエピソードがたっぷり。

以前内藤さんと中野さんのセミナーの場だと思ったのですが、中野さんが債券の運用についてスラスラと語っていて、もともとは債券のディーラーだったのかな?という印象は持っていましたが、本当に色んな運用をその当時はされていたようです。

で、だんだんセゾングループが経営的に厳しくなって短期的な結果を求められるようになって長期投資視点での投資ができなくなり、それなら個人投資家向けの商品を作って運用しようと考えたのが最初。

ベアー・スターンズと共同で「未来図」というファンドを作ったのも中野さんだったそうです。

このファンド、自分覚えがありますね。確かにこれといった特徴を感じないファンドでしたが、あれは中野さんの夢が敗れた商品だったんですね。

その後クレディセゾンの社長に投信会社設立のOKをもらったものの、一度白紙になっていたという過去も驚きでした。

それでも諦めずに機が熟すのを待ってようやく掴んだのがセゾン投信。

まさに中野さんの執念でできたような会社です。

セゾン系ってアーティスティックな企業が時折生まれますが、セゾン投信も中野さんというアーティストの情熱によって生まれた会社と言って良いのではないでしょうか?

巻末には覚えておきたい社長の言葉がまとめてあります。

(良いものを作るために必要なことについて)

ひとつ曲げ、2つ曲げしていくと結局全部曲げることになります。だから決めたものはひとつも譲らないという事が一番良いものをつくるために必要なのだと思います。

やることを目的化すると、そういう結論になりがちです。

目的はスタートすることではなくて、その先にある世の中の大きな変化を作ることだから、全然違うわけですよ。

(レポートについての考え方)

レポートの中では、会社の方針など、同じことを繰り返し伝えています。

「自分がそういうのをもらったら嬉しいだろうな」という事を考えて作っています。

今どんなことが起きていて、これがどういうふうに進んで、それをどう大きくとらえていくかということの方が大事なのです。

レポートはお客様の心理的フォローにもなっているのです。

妥協せず、差別化された商品を提供して個人投資家から高く評価されている裏側にはこういった大事なところはブレない方針と、積極的でわかりやすい報告が理由だと思います。

セゾン投信、これからも応援していきます。