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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

投資信託のコスト2/信託報酬

投信を持っていると、毎日差し引かれる経費があります。それが信託報酬です。

一般的な株式投信で年1.5%程度の信託報酬が差し引かれていますが、基準価額として発表される価格は信託報酬を差し引いた後の価格なので投資家の人はあまり意識しない経費とも言えます。 

とはいえ、儲けた(損した)お金から確実に引かれる経費ですので安いに超した事はありません。

4%の利益があっても信託報酬で1.5%引かれると自分の残るのは2.5%だけになります。これが信託報酬1%の投信だと3%が自分の手元に残る事になります。

1年ですと小さいと思うかもしれませんが、年月がたつにつれて福利の効果で徐々に差が大きくなっていきます。

これは、運用の経費ですから委託会社(運用会社)が受け取るものと思われがちですが違います。

委託会社、販売会社、受託銀行のそれぞれが受け取ります。

委託会社:運用に対する報酬として

販売会社:販売した事に対する報酬として

受託銀行:投信が保有する証券を預かる業務への報酬として

例としてモーニングスターという投信評価会社が2004年のベストファンドに選定したノムラ日本株戦略ファンドの信託報酬を抜粋してみます。

投信資産額1,000億円以上の場合

委託会社0.85%/販売会社1.0%/受託銀行0.05%(税抜き)

なんと、運用に関係ない販売会社が運用する会社(委託会社)よりもマージンを得ています。

日本で最大の株式ファンド「フィデリティ日本成長株ファンド」の場合は

委託会社0.73%/販売会社0.7%/受託銀行0.1% (税抜き)

と、やはり販売会社が運用する会社並みに手数料を手にしている事になります。

正直、売ってしまえば後は何もする事のない販売会社がこんなに毎年手数料を取っているという現実には納得できないものがあります。

そもそも、信託報酬が現在の水準になったのは銀行窓販が行われるようになった90年代後半を境に思えます。(投信販売において販売会社を確保するのが大事と気づいた外資が手数料の高い投信を設定したのが先駆けらしいです)

預金をちまちま集めて貸すアテもないお金を抱え込むより、お客のお金で投信を買わせて販売手数料だの信託報酬をいただいた方が銀行にとってよっぽど効率がいいってもんです。

そんな訳で銀行では販売手数料や信託報酬が高い投資信託ラインアップになっていることが多いです。

信託報酬が高くても運用能力が高ければ文句も出ないんですけど、そういう良い投資信託はなかなか見つかりませんからね。

という事があって、世の中には信託報酬絶対主義(安ければ安いほど良い)というファンドマニアが存在します。

自分は、運用成績が良ければ信託報酬は高くても構わないと思っていますが、それに該当する投信はかなり少ないです。