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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

アセットアロケーションはどれだけ重要か?

最近、アセットアロケーション(資産配分)が重要だという記事をよく見かけます。

藤忍氏の著書「内藤忍の資産設計塾」はまさにアセットアロケーションを主題に据えた資産形成のための本ですし、雑誌などでもアセットアロケーションという言葉をよく見るようになりました。

だいたいの場合、「リターンを決める要素の90%は資産配分」という研究結果があるという書かれ方としていると思います。

数字は90%ではなく70%程度である場合もあります。

ただ、この出典元が書かれている事はあまりありません。

一体、誰がいつ頃言い出した説なのでしょうか?

自分はJ・C・ボーグル氏の著書「インデックスファンドの時代」にこの説の元を見つけました。

!5 1986年にフィナンシャル・アナリスト・ジャーナルでブリンソン氏、フード氏、ビーパワー氏が「投資政策(資産配分)は投資戦略(マーケットタイミングと銘柄選択)よりもはるかに重要で、それによって平均的に年金基金全体の93.6%が決まってしまう」

これは1983年までの過去10年間のデータを元にした研究結果だったようですが、1991年には同じ著者によって1987年までの10年間の資産配分効果が再度計算され、91.5%と発表されています。

この研究結果が方々で使われているわけですが、ウィリアム・ジャンキ氏は

!5 資産配分はポートフォリオの四半期リターンの93.6%を説明するかもしれないが、長期的の総リターンでは14.6%しか説明できない

と述べ、多くの個人投資家にとってポートフォリオのパフォーマンスを決める最も重要な要因はコストであると結論付けています。

実際、日本株(TOPIX)100%のポートフォリオの場合、1年リターンはだいたい-20%〜+70%までものすごくブレ(リスク)がありますが、10年で見るとだいたい-5%〜+25%程度にブレ幅が縮まってきます。

さらに期間を伸ばして30年になると+5%〜+20%というように平均値の+12%程度を境にしたリスクが大分少なくなってきます。

このように、長期で考えるとアセットアロケーションをああだこうだ考えなくてもリスクを抑える投資をすることは可能です。

となると、アセットアロケーションは大事ですが、それ以上にコストにも目を向ける必要がありそうです。