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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

コモディティファンドの隠れたコスト

モーニングスターに5月末までの過去6ヶ月リターンランキングに関する記事があり、それによるとコモディティファンドが軒並み上位にランクインしてきたようです。

コモディティ型が10以内8本 欧州株式型は20以内に2本(モーニングスター)

1 グローバル・コモディティ・オープン(毎月) 野村

2 ダイワ・コモディティインデックス・ファンド 大和

3 住信 コモディティ・オープン 住信

4 野村 コモディティ投信(DJ-AIG商品指数) 野村

5 ダイワ/ブラックロック 資源エネルギーF 大和

6 (SMBC FW) コモディティ 大和住銀

7 AIG コモディティファンド AIG

8 AIG コモディティファンド<1年決算型> AIG

9 ニッセイ コモディティファンド ニッセイ

10 三井住友・世界食糧関連ビジネスファンド 三井住友

あくまでも半年のスパンなのでリターンランキングはどうでもいいとして、問題は同じ商品インデックスに連動しようとしているはずなのにリターンが大きく違うファンドが見受けられる点です。

ちなみに1位のグローバル・コモディティ・オープン(毎月) はエネルギーが75%を占めるS&P GSCI商品指数、2位のダイワ・コモディティインデックス・ファンドはジム・ロジャースが作ったロジャース国際商品指数、3位の住信 コモディティ・オープンはダウジョーンズAIGコモディティ・インデックスに連動を目指しています。

中でもエネルギーなどに偏る事なく、色々な商品に分散されて構成されたダウジョーンズAIGコモディティ・インデックスに連動を目指すファンドが一般的に多いのですが、それでもリターンには結構差があります。その原因として6月8日の日経ヴェリタスにまたまた興味深い記事がありました。

商品に直接投資できないためインデックス連動債券に投資しているが、その仕組み債券を金融機関が発行する際にかかるコストがまちまち

これはファンドが組み入れる債券にかかるコストなので信託報酬とは別枠でかかってきます

し、タチの悪い事にこのコストは非開示です。なので、リターンとインデックスの乖離具合から想像するしかありません。

また、商品インデックス自体も商品先物価格よりも低くなるという事もコモディティファンドを買う人には理解しておいてもらいたい点です。

商品先物市場は先物市場なのでどうしても決済月が存在して、一度そこで決済をしないといけません。なので、ポジションを買い持ちする場合は決済日が近づくと一度今持っているポジション(期近)を売って、次の期限までの先物(期先)を買い直す必要があります。

先物市場では期先の価格には倉庫保管費用や金利などのコスト相当分が上乗せされるため、価格が倉庫保管費用などがほぼ消費された期近よりも高くなるという性質があり、期限前の買い直しの際には、期近の価格と期先には価格差による損失が若干出てしまいます。

そのため、実際の商品先物市場の価格と商品インデックスを比較すると商品インデックスは純粋な先物価格よりも下ぶれする傾向にあります。

更に、商品インデックスファンドになるとここから信託報酬が差し引かれたりするので更にリターンは低下します。先に書いた仕組み債を使ったインデックスファンドの場合はもっと下がります。

コスト面で見ると色々不利な面のあるコモディティファンドですが、確かに今はリターンがいいですし、値動きを見ると株や債券との相関性が低いのも確か。

集中することになく、分散投資の一環としてなら買ってもいいと思います。

個人的には5%や10%投資するくらいならその分のリスクを長期的な視点で受け入れた方がいいかな?と感じています。

1年で例えば株よりも商品が10%値上がりしていたとして、投資比率10%なら全体に及ぼす影響は1%です。30%違っても3%。

100万円の資金を運用していて3万円の差。

1,000万円の資金を運用していたとして30万円の差。

このくらいの差なら長い目で見て株に投資していた方が商品より長期での期待リターンが高い分ましだと考えています。

もちろん、許容できるリスクは人それぞれですから人によって受け止め方は違うと思いますが。