フィデリティ世界有望株ファンド
最近、フィデリティ投信のHPに行くとイギリスの伝説的ファンドマネージャーとしてアンソニー・ボルトン氏をプッシュしていて、スペシャルサイトを作ったり、スペシャルレポートを発行したりしています。
フィデリティの伝説的ファンドマネージャーといえばアメリカでマゼランファンドを運用していたピーター・リンチ氏が有名ですが、イギリスにはボルトン氏という凄腕ファンドマネージャーがいたようです。
元々は「カリスマ・ファンド・マネージャーの投資極意」という本を出したのでその宣伝も兼ねているのかな?と思っていたのですが、どちらかというと大和証券で販売されている「フィデリティ世界有望株ファンド」でボルトン氏がかつて運用していたフィデリティ・スペシャル・シチュエーション・ファンドの分家に投資できるようになったというのが大きいようです。
フィデリティ世界有望株ファンドは大和証券のこちらでも月次レポートを見る事ができますが、1月20日の設定来でなかなか良い成績を残していて、2月の月次リターンは-2.21%、MSCIワールドインデックスが-8.89%と比較すると魅力的に思えます。
という事で少し詳しく調べてみました。
まずはファンドの基本データから
フィデリティ世界有望株ファンド
・投資対象資産:その他投資信託証券(株式一般)
・決算頻度:年2回
・投資対象地域:グローバル(含、日本)
・投資形態:ファンド・オブ・ファンズ
・為替ヘッジ:なし
・信託期間:2009年1月20日から2019年12月26日まで
・信託報酬:年率0.8295%(税抜き0.79%) [実質的信託報酬年率1.75%±0.05%(税抜き)程度]
イギリスで設定されている「フィデリティ・グローバル・スペシャル・シチュエーションズ・ファンド」と日本で設定されている「フィデリティ・マネー・プール(適格機関投資家専用)」を組み合わせたファンド・オブ・ファンズですが、単純にフィデリティ・グローバル・スペシャル・シチュエーションズ・ファンドを買う為に形式的にファンド・オブ・ファンズにしているだけのよくあるファンドです。
信託報酬もファンド・オブ・ファンズとしては一般的なところです。
高いとは思いますが、なにしろボルトン氏が運用していたフィデリティ・スペシャル・シチュエーションズ・ファンドは四半世紀にわたって年率22%を達成し、ベンチマークのFTSEオールカントリーインデックスを6%上回っていたそうです。
スペシャルサイトによると2007年末に運用をサンジーブ・シャー氏に引き継いだそうですが、ここ1ヶ月の動きを見るとペシャル・シチュエーションズの名前に恥じない成績を残しているのではないか?と思われます。
という事で大和証券にある販売用資料を見てみましょう。
ファンドマネージャーはヨルマ・コルホーネンとあります。あれっ?
経歴を見ても2004年9月にフィデリティ・グローバル・ファンドのポートフォリオマネージャ、2007年1月1日からフィデリティ・グローバル・スペシャル・シチュエーションズ・ファンド(英国籍証券投資法人)の 専任ポートフォリオ・マネージャーとあります。
ボルトン氏からの引き継ぎと話が合いません。
よーくファンド名を見てみるとボルトン氏のファンドは
フィデリティ・スペシャル・シチュエーションズ・ファンド
こちらのファンドは
フィデリティ・グローバル・スペシャル・シチュエーションズ・ファンド
グローバルが入ってました。
販売用資料の24ページに書かれていることによるとフィデリティ・スペシャル・シチュエーションズ・ファンドは投資対象のグローバル化の進展にともない、英国株中心のフィデリティ・スペシャル・シチュエーションズ・ファンドとグローバルに投資するフィデリティ・グローバル・スペシャル・シチュエーションズ・ファンドに分割されたそうです。
で、このファンドにはグローバルな方が組み入れられていると。
なるほど納得です。
しかも、販売用資料22ページの過去成績を見ると、
2006年9月〜2007年10月末
ファンド:20.2%
MSCIワールド:14.5%
2007年10月末〜2008年5月末
ファンド:-2.3%
MSCIワールド:-3.3%
2008年5月末〜2008年11月末
ファンド:-41.0%
MSCIワールド:-23.9%
設定来(2008年11月末時点)
ファンド:-31.7%
MSCIワールド:-15.7%
この下落局面でインデックスにだいぶ負けてます。
セクター別で金融株が2位、情報系が1位なのでその影響なんでしょうけれども、これにFOFsのコストを加算されると正直つらい感じがします。
参考資料では英国中心のファンドの方を設定来29年間でベンチーマークが20倍に対してファンドは100倍になったと自慢してますが、グローバル化が進んだのでファンドを分けたって事は、ベンチマークが英国国内株インデックスなのに世界中に投資して勝ったと言っている事であってそれではフェアな比較とは言えません。
26ページでFTSEオールシェア(英国指数)との比較があって勝ちまくっているように書かれていますが、比較対象がフェアじゃないんです。ベンチマークに設定されていたというのは事実なのでまあいいんですけど。それってベンチマークって呼べるのかな?
そんなこんなで久しぶりに大和証券の口座に入金しようかとも思いましたが・・・やめておきました。