昨日、三菱UFJ投信さんで行われた低コストインデックスファンドシリーズ「eMAXIS」のブロガーミーティングに参加してきました。
既にTwitterでは会の内容をつぶやいていますが(こちら)、改めてブログのエントリーとしてまとめたいと思います。(出遅れましたが)
参加者は15名程。定員は25名という事でしたが、まだまだインデックスファンドのマイナーさを痛感します。
(1)プレゼンテーション
三菱UFJ投信の代田さんから会社説明とeMAXISの商品説明。
・今年で日本で投信が誕生してから50年になるが、最初に投信を出した旧山一証券系の投信会社も含まれている。業界5位の残高規模。
・三菱UFJ投信の既存の商品では「三菱UFJ〜」のような名称が一般的に使われて来たが、この商品においてはネット販売向けの低コストインデックスシリーズという事で「eMAXIS」という違うブランドをあえて立ち上げた
・これまでの業界のメインストリームはリタイアメント層の大口投資家が対象。ここ向けには毎月分配、高分配の商品が好まれる傾向がある。元本は遺産として残すもので、毎月一定額を取り崩して使いたいというニーズが大きい。
・資産形成層の小口投資家向けの商品は手薄だった。ここにリタイアメント層の商品をあてがってもニーズが異なる。
・過去3年間、窓販での投信残高は微減だったが、ネット販売は45%増、これは確定拠出年金の35%以上の伸び率。しかも確定拠出年金と同じくらい継続的な残高の伸びを示しているようだ。
・今は投信販売の2%しかシェアがないが、今後伸びて行く市場と信じて先んじて商品を投入することにした。
・ノーロード販売専用、ネット証券もしくは銀行のネット取引用の商品。
・税制上分配金を将来に渡って出さないという事はできないが、できるだけ抑えて複利指向の分配方針とする
・信託報酬は個別に既存商品に対抗することも考えたが、シンプルでわかりやすい商品にという事で国内物は0.4%、外国物を0.6%に統一した。これは今後商品を追加する場合でもベースとなる考え。
・既にETFでMAXISブランドを提供しているが、eMAXISは小額積立できるのがメリットなので共存していきたい
・ETFの流動性という事がよく話題になるが、市場の取引高=流動性ではない。実際には証券会社に来る売買注文を証券会社内の相対取引で済ませるケースも多い。
(2)質疑応答
・どのくらいの資産規模を目指すのか?
→10年くらいの中長期で500億円程度が目標。設定3日目で1億5,000万円程度集まっており、最初に考えていたよりも早いペースで残高は増えている。2〜3年不振でも償還は考えていない。これから年末にかけてネット証券での販売促進キャンペーンを計画中
(3)個人ワーク、グループディスカッション
ここで三菱UFJ投信の方とディスカッションへ。
・eMAXISを作ったきっかけは?
→入社三年目の鈴木さんがせっかく運用会社にいるのだからマクロ環境を見て自分で運用したいと考えたが、自社にはそれに向いた商品がなかったので作りたいと考えた。
・eMAXIS誕生までに苦労したことは?
→会社内で反対意見もあり、社内調整が大変だった
・いい商品を出したが、あくまでも販売会社が販売するもの。今後相場環境が変わってインデックス投資が流行らなくなった時に運用会社の頑張りだけでは難しいのではないか?直販について考えを聞きたい。
→直販はコストもかかるので考えていない。eMAXIS専用サイトをつくるなど運用会社としてできる限りの販売促進を行って行きたい。
当初ネット証券大手4社すべてから同時発売を目指して営業活動を行って来たが、いい返事をもらえるまでは大変だった。最終的に1社
は取り扱ってもらえなかったが今後も拡販に向けて努力する。
・信託財産留保額がない商品ではETFへのリレー投資に使われてしまい、本来eMAXISと長くつきあいたい人にとって無駄なコストがかかるのではないか?
→マザーファンドとしてみると実は解約と購入の日々の動きはそんなに大きく無い。マザーファンドの大きなファンドは信託財産留保額がなくてもいけると判断した。ここは営業サイドの無しという意見と運用サイドの必要だという意見が社内で激論になった点だった。
(4)意見交換会
・今回のような会を是非継続的に開催して欲しい
・インデックスファンドの普及には投資教育が必要
どんな会になるのか手探りでの参加でしたが、三菱UFJ投信さんからも10名近くの方が参加していてこの商品に賭ける想いが伝わって来ました。大手投信会社が低コストのインデックスファンドというのは最もやりたく無い分野だと思いますが、よく出してくれたな!ありがとう!という気持ちです。
リリースまで半年程度かかったという事ですので、既にSTAMインデックスファンドシリーズが評価を受けていた時期からの商品企画になりますが、単純にもっと安いファンド作ればいいという事ではなく、自分が買いたいシンプルでベーシックなファンドを目指したという所が気に入りました。
マネックス証券はSTAMの時と同様、最初は取扱を見送っていますが取扱をするように個人的にも要望を出します!
是非マネックス証券に口座を持っている人はeMAXISを取り扱うようにマネックス証券に要望を出しましょう。
また、最後に代田さんにせっかく専用サイトがあって8本もラインアップを揃えたのだから、初めて買う人がどういう組み合わせで買えばよいのか組み合わせを選ぶと過去のインデックスデータから算出するリスクとリターン値を計算してくれるツールがあると嬉しいと伝えました。
その答えはインデックスは東証やMSCIなどのもので、指数の利用料を支払って使っている。そういった計算などをできるツールを出すのは指数の二次利用に相当するので実現は難しい。ただ、そういったツールの必要性は感じているので何らかの形でできるように努力したいという事でした。
レオス・キャピタルワークスの藤野さんも運用会社は直接お客様とコミュニケーションを取る事ができないので、いつか直販のファンドをやりたかったと話していましたが、今回の話を聞いていてもやっぱり運用会社には運用会社ならではの足枷があってやりたい事があってもなかなか実現するのは難しいんだなあと感じました。
それでも三菱UFJ投信さんのeMAXISへの想いは本物だったと思います。
eMAXIS、マネックスで買えるようになったところで購入したいと思います。
今回はネット証券での販売ですが、僕も周りを見渡してもネット証券の口座を持っている人は皆無です。
銀行の世界だけで生活している人が少し運用してみようかと思った時にシンプルでベーシックな商品としてインデックスファンドは有効だと思いますので、是非ネット銀行や銀行のネット取引での販売にも力を入れて欲しいです。
三菱東京UFJ銀行のネット取引で取り扱うようなことがあったらびっくりというか尊敬しますが社内調整以上に難しいでしょうね。
とはいえ、三井住友銀行も一部だけとはいえ低コストインデックスファンドをネット販売しているように、世の中の流れから考えるとあながち無い話でもないと思ってます。