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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

目論見書・運用報告書を読む(5) ひふみ投信

目論見書・運用報告書を読むシリーズ第五回目はレオス・キャピタルワークスが運用する『ひふみ投信』です。参考資料はこちらです。

 交付目論見書  第3期運用報告書  月次運用レポート  

ひふみ投信第三期決算運用報告会 配布資料 目論見書、運用報告書を読むにあたり、竹川美奈子さんが提唱するP-CCAP(ピーキャップ)の法則を利用します。

  • Policy(運用ポリシー)
  • Cost(手数料)
  • going-Concern(継続性)
  • Asset(純資産総額)
  • Performance(運用実績)

 1.運用ポリシー(Policy)

運用ポリシー

  • 定性評価(アート)と定量評価(サイエンス)の融合

  • トップダウンとボトムアップの融合
  • 厳選集中ポートフォリオ

ファンドの特色

  • 国内外の上場株式を主要な投資対象とし、市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して長期的に投資します。
  • 株式の組入比率を柔軟に変化させて運用します。
  • 保有コストを抑える仕組みの投資信託です。

ひふみ投信では守りながらふやす運用を目指しています。 国内外の株式を組み入れる事ができる設計になっていますが、まだファンドのサイズが小さいこともあり現時点では日本国内の株式に限定して組み入れを行っています。

また、現金比率を最大50%まで機動的に変化させることができるのも大きな特徴で、これから株価が下がると思われる局面では株を売って現金にして守りに入ります。逆に、これから株価が上昇すると思われる局面では目一杯株式を保有します。

通常、ファンドは株式を常に目一杯保有して、投資家側が自分の全体の資産の状況に応じて株式の比率を調整したりするものですが、ひふみ投信では株式比率の調整までも含めて投資家に代わって行うことで本当の意味で投資家にとって良いパフォーマンスを残す様な運用を目指しています。

レオスではアート(定性)とサイエンス(定量)の融合を目指した運用を行っていますが、サイエンスにあたる部分としてコンピュータを利用しています。

景気や相場の大らかなサイクルをモニタリングするためのレオス・マーケット・ディレクション・インディケーター(RMDI)と安定した銘柄選択能力をサポートする独自のスコアリングモデル(RSM)です。

 RMDI:
先進7カ国+新興4カ国の景気先行指標から構成される指標で、世界景気のサイクルに市場や企業業績が左右される日本株の先行きを予測するもので、ひふみ投信のキャッシュコントロールにも利用されています。

 RSM:
収益性に対する割安度、四半期業績の増益モメンタム、株価モメンタムについて10段階評価するモデルで、魚群探知機のようにこれから株価が上がりそうな銘柄を発掘します。

 RSM、RMDIと人の手による会社訪問や企業分析などを融合することで株式の売買を行っており、スクリーニング、個別銘柄の検討、売買という個人投資家が行っているような投資行動に近いと言えると思います。

また、割と上位組み入れ銘柄が入れ替わりますが、そういった投資行動の裏側にはこれらのコンピュータやその時に最適な銘柄に集中投資するという投資方針に則った行動で、高い回転率という形でも現れています。

運用部メンバー:  5名(平均運用経験12.2年 最長21年 最短2年)
回転率: 
 第1期(2008/10/1〜2009/9/30) 1.96
 第2期(2009/10/1〜2010/9/30) 1.53
 第3期(2010/10/1〜2011/9/30) 1.90

2.Cost(手数料)

購入時手数料:  
 ノーロード(0%)です

運用管理費用(信託報酬):
  年率1.029%(税込)[税抜0.98%]

※実質コスト 
 第1期(2008/10/1〜2009/9/30) 1.311%
 第2期(2009/10/1〜2010/9/30) 1.525%
 第3期(2010/10/1〜2011/9/30) 1.638%

株価下落に備えるため株を売って現金にしたり、株を買い直したりするため株式の取引手数料が結構かかっています。 そのため実質の信託報酬は高めです。

ひふみ投信には資産形成応援団という面白い仕組みがあって、長期保有することで信託報酬の一部が応援金として投資家に還元されることになっています。(応援金でひふみ投信が自動的に買い付けられます)

5年以上保有しているひふみ投信の口数に対して 0.2%分のひふみ投信をプレゼント  10年以上保有しているひふみ投信の口数に対して 0.4%分のひふみ投信をプレゼント  応援金による買付は4月5日、10月5日から6営業日目を受け渡し日として買付が行われます。

なお、応援金は雑所得となり課税対象となります。 キャッシュバックではなく、ひふみ投信の口数が増えるという形ですが信託報酬の一部還元を行ってくれるのは日本の数あるファンドの中でもひふみ投信だけです。

監査費用: 
年63万円(税込)を上限に年0.00525%(税込)が監査費用としてかかります。

信託財産留保額: 
 かかりません

3.going-Concern(継続性)

信託期限:無期限 ただし、受益権口数が30億口を下回った場合に繰上償還の可能性があります。

4.Asset(純資産総額)

15.46億円(2011年12月30日現在) まだファンドのサイズは小さいですが、2008年10月の運用開始から2011年12月末まで資金は純流入を継続しています。

また、顧客数は毎年600名口座程増え続けています。 

 第1期末(2009/9/30) 627
 第2期末(2010/9/30) 1,223
 第3期末(2011/9/30) 1,805 12月29日に2,000口座を突破したそうです。 おめでとうございます!

5.Performance(運用実績)

2011年11月末時点での運用成績

積立シミュレーション(3年間) 2008年12月1日〜2011年12月30日まで月初に1万円積み立てた場合のシミュレーション

2011年12月30日時点では+3.8%でした。(一括投資の場合は+15.8%)

36ヶ月のうち  プラスの期間 :29ヶ月  マイナスの期間:7ヶ月(最長4ヶ月) 【関連HP】  ひふみ投信(レオス・キャピタルワークス)

ひふみ投信