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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

専門用語の日本語表記について

先日の吉野家の牛丼についてのエントリーに対していただいた意見

を元になぜ元々一般化していた「狂牛病」という呼称をBSE

に変えたのかについて調べてみましたが、そこでわかった事、そし

て用語の表記変更に関する自分なりの考えをまとめてみました。

あくまでも私の考えを述べているのであって、この考えを他人に強

要するものではありません。

新聞社としてなぜ表記を変更したかが、わかりやすく説明されてい

ると思います。

[毎日新聞社告]:http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/disease/bse/25-01.html

そして、わたしの考えている表記変更の理由の考え方はこのサイト

が近いです。

[日本語についての考察]:http://www4.point.ne.jp/~granblue/japanese.htm

|そもそも、BSEとは

|[bovine spongiform encephalopathy]=「牛海綿状脳症

|と訳され、日本での正式医学名牛海綿状脳症となっています。

|bovine が牛属の

|spongiformがスポンジ状の

|encephalopathy 脳の病気

|で「牛の脳がスポンジ状になる病気」と直訳できます。

|

|狂牛病という以前使われていた呼称は元々がイギリスの農民がつけ

|た俗称「madcowdisease」の直訳です。

|mad がパニックに陥った状態

|cow が牛

|disease が病気

|で「狂牛病」となったわけです。

|

「狂」という字は差別につながる文字で、今では正式病名に「狂」

という字がついている病気は「狂犬病」だけだそうです。

狂犬病はあまりにも広く浸透してしまっているので、今更変更でき

ないかもしれないが、この問題は新しい問題だから今のうちに差別

につながる言葉は使わない方がいいという意見もあったようです。

予防注射を受けている飼い犬に対して狂犬病という言葉を知ってい

ても過剰な反応を起こさない人が、検査を受けている牛肉に対して

狂牛病」という言葉で過剰な反応を起こすのはどうかと思います

けどね。

BSE(牛海綿状脳症)の症状としては牛の脳の中枢神経に障害を

きたして行動異常や運動失調などの目に見える症状を発症して、最

終的には死に至るという事になります。

今回の問題の場合、「狂牛」という表記が問題で、狂犬病との名前

の類似性などから人間への感染の危険性などの面で病気の実態以上

の症状を想像させてしまい、誤解や不安を与えるという意見を受け

て、俗称の「狂牛病」ではなく、正式名称の英語表記の短縮形であ

る「BSE」と表記されるようになりました。

このBSEという呼称は業界団体で作られたBSE問題全国農業団

体対策本部が求めた呼称なのですが、これでは狂牛病以上にどうい

う病気なのかというのが伝わらない事になってしまいます。

反論としてはO−157など日本語名称でなくても一般に浸透した

例はあるというのがありましたが、問題が表面化した時点からの呼

称と一度一般化した呼称を途中で変更するのとではまた、違った意

味合いがあります。

なぜ、日本語表記ではなく、一目で理解しにくい英語の短縮名にす

るように申し入れがあったのかという点で、臭い物には蓋をすると

いう日本の悪い面が出たのではないかとうがった見方をしてしまい

ます。

ちょっと論点はずれますが男女差別をなくすという事で「スチュワ

ーデス」→「フライトアレンダント」、「看護婦」→「看護士」な

どと呼称を変えた例はありました。スチュワーデスさんと呼んでい

た人をフライトアテンダントの略称?でFAと呼び始めたら一見し

て何を意味しているのかわからなくなってしまいます。

食べ物の世界でも「ししゃも」と一般的に呼ばれている魚は「カペ

リン」という魚で、俗称の樺太ししゃもから更に樺太まで省略して

「ししゃも」として売られています。「銀むつ」も「銀鱈」の代用

品として捕られるようになった「メロ」というのが正式名称です。

魚の呼び名は既に、正式名称を商品の名前にしていくという方向で

動き出していて、メロは既にスーパーなどの商品名でもそうなって

います。

このように、俗称から呼称変更するのであれば正式な日本名に変更

するのが筋であり、英語の略称へ変更するのは一見しただけでは何

を意味しているのかわからないようにするための方策だったと感じ

ています。

牛肉を扱う方にとってこの問題が死活問題なのはわかります。

ただ、大切な問題だからこそ目をそらす方向に持って行くのではな

く、正面から対応して欲しかったというのが私の考えです。

実際、vegeもBSEの事をBBSと呼び間違えたりしています

し、カタカナ言葉や英文字言葉が増えているのをなんとか漢字表記

できないかという動きも出ています。カタカナ語や英文字表記の語

は新語が多く、年配の方などにはなかなか浸透していきません。

新型肺炎SARSのように最初から英文字表記で入った言葉ではな

く、一度一般に浸透してしまった言葉を表記変えする場合は、そう

いった方への配慮も考えて日本語名にした方が良かったのではない

か思います。

うまくまとまっていないかもしれませんが、これが私なりの考えで

す。(私が従事するIT業界は英語略語やカタカナ言葉が次から次

へと生まれている為に、お客様に説明する際にとても苦労をしてい

ます。お客様ももちろん、理解するためには苦労をしている訳です

が、この経験を踏まえて、むやみに英語略語を日本語化するのに反

対の立場にあるという下地があります)

最後に、今後この問題について書く際は日本語での正式名称を組み

合わせた「BSE(牛海綿状脳症)」と書く事としますが、これま

で書いた文についての訂正は行いません。