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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

エマージング市場への投資について考える

rennyさんのブログに エマージング国株式投信になぜ投資するのですか という記事がありました。 経済成長をしてもその市場で売れるのは、コカコーラであったり、iPodであったりするのではないでしょうか。 それに対してエルさんのブログでは エマージング国投信になぜ投資するのですか という記事を書いていて iPODをはじめオーディオ製品、テレビやパソコンは中国・台湾で製造され、日米欧のブランドをつけて世界で販売されています。ソフトウェアはインドで開発されています。  今や、日米欧はブランドをはじめとする知的財産権しか優位製はなく、製造力では、これら新興国に頼らざるを得ない状況にあります。  いずれ、日本は、これら新興諸国に追い越され、彼らに仕事を奪われる日も遠くないかもしれません。 とあります。 僕も、日本は新興諸国に製造業の仕事は奪われると思います。 ただ、今読んでいる最中なのですがドラッカーの「ネクスト・ソサエティ」を読むとそれももっともな事な気がします。 ドラッカーは人類は第一次産業の「農業」から第二次産業の「製造業」主体に産業の中心を移し、今は第三次産業の「サービス業」(ドラッカーは知識産業と呼んでますが)にシフトしている最中だと言っています。 これから先、儲けることが出来るのは製造業ではなく、知識産業です。 iPodを実際に作っている台湾や中国企業ではなく、儲ける事ができるのはiPodを設計し、販売しているアップルなんです。 ただし、それでも新興国はそれなりの経済発展をするでしょうから投資するメリットがないわけではありません。 それなりに企業も利益を出すので分散投資の一環として投資する分には問題ありませんし、分散投資先の一つの候補としては真剣に考えるべきものだと思います。 問題はシーゲル氏の「株式投資の未来」にもあった成長の罠です。 経済成長率が高い中国と低いブラジルでどちらが株価が上がったか? 結果はブラジルでした。 中国は期待が込められているので多少良くても株価が上がりませんし、悪い場合には思いっきり下落します。 対してブラジルはさほど期待されてなかったので良かった場合はサプライズとして株価が上昇し、悪くてもまぁそんなもんだろって事で下落率が低かったのです。 これは、成長株投資と割安株投資の関係に似ています。 なので、マスコミがこれからは○○の時代だ!なんて煽っている国は投資対象として本当に良いのかちゃんと考える必要があります。 彼らは経済が成長する=株価が上がるとの意味で記事を書きますが、実際の株式市場でも企業が増益になっても株価の反応はまちまちなのと同様株価が上がるとは限らないのです。 エマージング国家への投資といえば、蝶ネクタイのおっちゃん(ジム・ロジャース)が有名ですが、彼は著書を見ると国際分散投資の一環としてエマージング国へ投資しているのであって特定の国に集中投資はしてません。 彼は自分の足で世界をまわり、良いと思ったら市場全体へ投資をして暫く放置します。 結果、成功する国もあれば失敗する国もあるのですが全体としては儲けているというのが現実です。 なので、今ジム・ロジャースがイチオシの中国や商品先物市場も実際のところ今後どうなるかはわからないので、彼の言うことを信じて中国や商品に集中投資すればいいという訳ではありません。 分散投資という考え方が一般に広まっていないのでどうしても集中投資してしまう人が多いと思いますが、昨今流行のバランスファンドがいい具合に投資家教育になるといいんですけどね。 最後になりますが、僕もrennyさんやエルさん同様国際分散投資の一環としてのエマージング諸国への投資には賛成です。 僕の場合は外国株投資として買っている朝日Nvestグローバルバリュー株オープンにエマージング諸国への投資枠が含まれているので(韓国とメキシコに3.7%投資してます)まあそれでいいかと思ってます。 あんまり投資資金が多くないのでそんなに投資先資産を増やしたくないのもありますし。 ちなみに今のところ日本株、外国株、外国債券、世界リート(日本含む)、商品先物指数に分散投資してます。 もっと資産額が増えたらフィデリティの FWFエマージングマーケットファンド を買いたいと思ってますが。 新興国への援助は株式投資ではなく寄付という形でしたいと考えてます。