日経ヴェリタスの8/17号の巻頭特集で「運用メジャーの底力」というのが組まれていました。
日米欧の運用メジャーとして「フィデリティ(米)」「シュローダーズ(英)」「野村アセット(日)」の3社について運用技法と戦略について書かれています。
フィデリティ:
・かつては花形ファンドマネージャーに権限を集中させていたが、マルチマネージャー制度に切替
・キャリア・アナリスト制度を取り入れ、アナリストをファンドマネージャーになる前のステップではなく専門職として位置づける
・株式中心だったが、ライフサイクルファンドや機関投資家向け運用など総合化へ舵を切っている
シュローダーズ:
・2000年に投資銀行業務を売却して運用業務に特化した
・リサーチ中心の割安株投資
・日本では知名度が低いので国際投信のファンド運用を担うなど黒子戦略も
野村アセット:
・野村証券に依存した販売力からの脱却を目指す
・ノムラ日本株戦略ファンドの運用体制を米国投信会社に認められた(ザ・ジャパンファンドの運用を受託)
・野村アセットの強みが見えない(株のアクティブならフィデリティ、パッシブならバンガード、債券ならピムコのような)
日本の投信会社の中で異彩を放つ存在としてDIAMアセットが取り上げられていました。
・クオンツ運用に注力
・まず年金で国際展開し、一定の地位を獲得したら投信でも展開したい
・海外年金機関からの受託資金が約2兆円
・アジアに展開し、4年前から1.5倍の資産残高へ(9兆8000億円)
最後に、ここがヘンだよ、日本の投信という記事があり
・売り手の事情で次々と新しいテーマファンドが設定され、既存投信を解約して乗り換えさせる
・投信純資産残高に占める新規設定率は58.6%と米英の2倍 解約率も31.7%と米英より10ポイント以上多い
・海外には個性的な運用会社が多いのに対して、販売会社にとって売りやすい商品を求められるため、品揃えが似ている
今までよく語られてきた日本の投信の弱さを指摘しています。
系列の販売会社向けに売りやすい商品を提供する運用会社が多いため、いまいち運用会社の特徴が見えないのが一番の問題な気がします。
運用資産が増えても運用会社の取り分を減らして、販売会社の取り分が増えるような仕組み(結局信託報酬そもまま)を作ったりと販売会社の方を見た投信を設定しているうちはなかなか貯蓄から投資へという流れになりにくいのではないかと思います。
独立系直販投信会社のような小さな動きはあるので、どこまで波を起こせるか?
個性的な投信会社の登場に期待しています。