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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

ひふみ投信×セキュリテ 交流サロン第二回 「お金と地域」

先週、レオス・キャピタルワークスとミュージックセキュリティーズの「エコノミー・フォー・オーガニック」と題した交流セミナーの第二回目に参加してきました。

今回のテーマは「お金 と 地域」。

上智大学教授の藤井 良広先生による非営利金融についての講演でした。

アメリカでは大恐慌の最中に小額出資の仕組みを保護する法律が整備され、困っているところへお金が流れやすい仕組みができている。例えば、教会への寄付やNPOバンクなどへの出資は出資者が出資先について納得して出資しているのだから詐欺などは起きないだろうという事で外部監査を不要としている。

これにより、小規模の団体でも外部監査の費用が不要になり、本当に必要なところへお金が回る。

また、アメリカには地元に1店舗しかないようなコミュニティバンクがかなりの数あり、コミュニティへお金を回す仕組みがある。日本の農協なども本来はコミュニティバンクだが、集めたお金は国債に向かってしまっていて、地域にお金が回っていない。

営利的な銀行と非営利の寄付の間にCDFIという中間的位置づけのコミュニティバンクや企業支援ファンドなどが存在することによって営利から非営利までお金のサイクルが途切れないのがアメリカの良いところ。

政府もCDFIを支援する法律をつくり、地域貢献の具合と貸し倒れ率が低い団体を表彰して無償の出資を行う事で支援している。政府のお墨付きが出ると財団からの寄付も集まりやすくなるといった効果もある。

銀行が主に国債に投資するのに対して、CDFIはコミュニティに対して融資するのが特徴。

コミュニティとは地域であったり、人種の集まりであったり多様。

日本の問題点としては非営利金融機関の位置づけが不明瞭で税制や助成金での公的支援が一切ないところ。

また、営利金融機関に対して地域貢献に対するインセンティブも義務も無いので農協は70%、信用組合は40%を国債に投資してしまっている。

また、郵便貯金時代にあった国債ボランティア貯金が民営化で廃止されてしまい国際貢献への展開も無くなってしまった。

アメリカの非営利金融についての状況は今回初めて知ったのですが、ずいぶん優遇されていて日本とは全然違うんだなあと感じました。

アメリカの方が教会など、非営利で活動する草の根ネットワークが歴史的にも根付いているのが日本との違いかもと思いましたが、日本も江戸時代には非営利金融的な仕組みがあったので、富国強兵の時代に中央集権に傾いたのがそのまま硬直したままなんでしょうね。

民間で出来る事は民間にという考え方は今の状況では逆風が吹いていますが、地域活性化には民間の力は欠かせないものだと思います。

ミュージックセキュリティーズとひふみ投信の営業内容について説明があった後、ミュージックセキュリティーズの小松さんとレオスの藤野さんを交えたパネルディスカッションへ。

(セキュリテの説明で鹿児島の放作地で黒豚を育てる話がありましたが、個人的に興味があります。)

Q.地域にお金は回っていないのか?

藤井教授がこれまで100のお金すべてに金利が欲しいと考えて来ていたが、そのうちの10でもいいので金利をいらないという選択ができれば地元にお金がまわるのではないか?今までは銀行預金に変わる地元に還流する商品がなかったが、これからはそういった商品が出て来て地域活性化への合理的な仕組みが登場してもいいくらい豊かになったのではないか?というのが印象的でした。

Q.企業や国、テクノロジーの役割

藤野さんの回答でDVや犯罪被害者のカウンセリングなどに寄付をするファンドを作りたいと話されていたのですが、外債を使って運用を行い、金利部分を全額寄付に回すという仕組みで投信でありながらお金を儲けるのが目的ではなく継続的に寄付するというのが面白い仕組みだなと感じました。

まるで財団ですよね。個人でそういった事をこじんまりとやりたいと考えていましたが、投信でも仕組みとしては可能なんだなあと、投信という仕組みの懐の深さを感じました。

質疑応答:

Q.今後の展開について

藤井教授は営利、非営利、寄付の3つのレイヤーが繋がり続ける事が重要と回答していました。個人の寄付はいつやめてしまうかわからないし、政府の支援があれば財団からの寄付が集まる等レバレッジ効果が期待できる。

非営利の世界では困っている人に融資をしているので、金融危機の時こそ持続性が求められているという事です。

藤野さんが「公」「私」「官」「民」について話されていて、日本だと公=官だと考えがちだけれども、公について民がやってもいいのではないかと。

欧米と日本のヒーローの違いを見てもチャーリーズエンジェルやスーパーマン、アイアンマン、サンダーバードなど欧米では民間人がヒーローになっているのに日本の場合はウルトラマン(世界の警察官)、科学特捜隊(公務員)、水戸黄門(天下の副将軍)、太陽に吠えろ(公務員)など「公」の人がヒーローになっていて、私のヒーローについて無意識にうさんくさいと感じてしまうところに違いがあるという話になるほどなと納得しました。(漫画の世界はまた違うようですが)

最後に「志のあるお金を作る」「お金に魂を入れる」という話があったのですが、その辺りは澤上さんもおっしゃってますが資産形成において僕も見失わないようにしたいと感じています。

どうせならかっこいいお金の使い方をしたいです。