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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

かいたく投信の海外投資入門講座セミナー

日曜日にかいたく投信が開催した「海外投資入門」講座 これからどうなる 各ファンドがガチンコ議論セミナーに参加しました。

当日はtwitterで中継もしてみたのですが、改めてまとめてみたいと思います。

このセミナーはかいたくファンドが組み入れているファンドマネージャーを招いて運用方針などを直接聞こうという内容です。

講師は

日本コムジェストからは山本社長

東京海上アセットマネジメントからTMA長期投資ファンドファンドマネージャーの平山 賢一さん

司会がかいたく投信の上原社長

の3名でした。

まず最初に日本コムジェストの山本社長からコムジェストについてと欧州、新興国への投資について話がありました。

・コムジェストの投資は安定的に利益が成長していて株価も激しく変動しない銘柄への集中投資

・長期的にはEPSの伸び率と近い株価上昇率を目指している

・今後の注目テーマは「高齢化社会」「生活の質向上」「 コストの安い製品、サービス」「 アウトソーシング

・投資先はM&Aなどで毎年10社程度変わる。

・投資先の配当性向は高いが高配当ファンドとも目指しているものが違う。日本にいると想像しづらいが欧州にはディフェンシブセクターの株が多い

新興国への投資というと資源株を想像するが、携帯電話事業など新興国の人がよく利用する市場規模の拡大が望める企業へ投資

・コムジェストのエマージングファンドはブラジルに一番投資している。マクロ経済も安定しており、昨年からの株価上昇率も現地通貨ベースではBRICsで下位に位置するが、円ベースになるとトップになる。通貨が強い。

・ブラジルへの投資に課税する制度について長期的には通貨の安定に寄与するのでプラスと考えている。ただし、債券投資にとっては痛手。ブラジル株を売却した資金をこれまでは自動為替でレアルからドルに強制転換していたのをレアルのまま持つようにしている。機関投資家は課税を避けるためこのような取引をするはずで、それもレアルの安定にプラス。

続いてT&Dアセットマネジメントの平山さんの話

・最近ネスレのCEOが話していた。今後の社会で一番優先度の高いのは「赤ちゃん」、次が「ペット」、次が「子供」。ネスレはこれらの消費者がお金をかけたいと思う分野に注力する。

・これからは資金を投じる先を取捨選択する必要がある時代になる

・昨年11月の皆が悲観的な時に東洋経済のインタビューで来年の見通しは明るいと話したが、今はこれから先に悲観。

・お金が増えてモノが増えないのでインフレに向かう

日本株へのインデックス投資も良いが、日本は金融セクターが駄目なのに比率が高めなのでアクティブが良いのではないか

ディスカッション

Q.コムジェストの話を聞いていると日本のメーカーは駄目なのか?

山本:日本のメーカーが駄目という事ではなく、コムジェストの目指すボラティリティの低い投資に向いた会社が少ない

Q.バフェットを尊敬している平山さんはどういう目線で日本株を選んでいるか?

平山:日本は景気循環銘柄が多い特徴があるが、EPSのボラティリティでスクリーニングすると安定成長している会社を探し出すことができる。日本で買えないセクターは「銀行」「エネルギー」「医薬品」。政治の力を要する事業に日本は弱い。

Q.かいたくファンドの今後の運用方針は?

上原:これからも徐々にファンド組み入れを進めて行く。局面に応じて判断はするが、すぐに大きく動くつもりはない。

Q.ブラジルは割高なのでは?

山本:エマージング市場全体が割高。PERで比較して新興国は先進国のよりも2割程度割安なのが通常なのに対して現在は1.1倍。フロンティアマーケットまで範囲を広げて投資対象となる会社を探している。

上原:かいたくファンドとしてもエマージングをあまり組み入れていないのはコムジェストがエマージングに割高さを感じて消極的だから。割安感が出てコムジェストもエマージングに強気になったら資金を投入するつもり。

感想

コムジェストもTMA長期投資ファンドもどちらもボラティリティを抑えつつ安定的に基準価額をあげようというファンドという事で似たファンドだなという印象を受けました。

コムジェストの山本さんが日本株景気循環銘柄が多くて難しいと言ったのに対して平山さんが中小型株に投資対象となるいい銘柄が潜んでいると話していたのが印象的でした。

また、日本で投資できないセクターは外国株にしているという事で、そういう組み合わせのファンドなんだというのも初めて知りました。両ファンドの投資哲学が似ているのでかいたくファンドの目指す方向性もボラティリティ低く、利益成長のようなゆったりとした曲線で成長することなんだろうなと感じました。

セゾングローバルバランスファンドの場合は債券を50%組み入れることでボラティリティを抑えようとしていますが、かいたく投信の場合は銘柄選択の部分でボラティリティを低くしようとしているように見えます。

個人的にも生活必需品やヘルスケアセクターの多いかいたくファンドは僕にとっても居心地の良いファンドですし、毎月積み立てていくには向いているんじゃないかと感じました。

コムジェストの運用哲学は以前もカントンさんから聞いていましたが、平山さんの話は今回が初めて。

話し方は柔らかいんですが、芯がしっかりしていて最後の金の話なんかも熱心に説明していただけてわかりやすかったです。