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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

【目論見書・運用報告書を読む(2)】かいたくファンド

目論見書や運用報告書から重要な部分をピックアップしていこうという企画の第二弾は先日運用報告書が公開された「かいたくファンド」 参考資料はこちらです。  交付目論見書  第三期運用報告書  月次レポート(2011.02) 目論見書、運用報告書を読むにあたり、竹川美奈子さんが提唱するP-CCAP(ピーキャップ)の法則を利用します。  ・Policy(運用ポリシー)  ・Cost(手数料)  ・going-Concern(継続性)  ・Asset(純資産総額)  ・Performance(運用実績) 1.運用ポリシー(Policy かいたくファンドの目指すこと ・「世界投資」を通じて世界と個人をつなぎます ・「分散投資」でリスクをおさえ、安定的な成長をめざします ・直販をつうじて、投資家との二人三脚で、「長期投資」をつらぬきます 運用方針 ・運用にあたっては、厳格な基準に基づいて選択されたファンドを活用することで、景気変動のサイクルに沿ったカントリーアロケーションの切り替えによって、資産配分の調整を行っていきます。 ・長期的な資産の成長を目指した運用を行います。 ・主に国内外の株式等を投資対象とする投資信託証券を投資対象とします。 組み入れファンドの決定方針ファンドの運用方針が明確で一貫性があること ・運用資金が安定的に推移していること、 ・基準価額の推移が運用方針と整合性がとれていること 今後の運用方針について 新興国主導の景気回復からアメリカを中心とした先進国主導の景気回復へ ・アメリカの比率を高める ・欧州はソブリン問題と北アフリカ情勢を見ながら ・日本は震災の影響と復興需要による政策を見ながら大きく組み入れ比率を変動させる ・引き続き新しい組み入れファンドも調査を継続する ファンドの組入状況 キャピタル・インターナショナル・グローバル・エクイティ  主に世界の先進国株式に投資するマルチマネージャー運用。 TMA長期投資ファンド  エネルギ、食、豊かな生活をキーワードに生活必需品やヘルスケアなど中心に組入 ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンドSA  欧州の生活必需品やヘルスケアなどを中心に成熟経済でも高い成長を見込める30銘柄程に集中投資 ニッポンコムジェスト・エマージングファンドSA  新興国の中でも安定したキャッシュフローを持つ銘柄に集中投資 コムジェスト・グロース・アメリカ  アメリカ市場の中でも世界で競争力のあるIT、ヘルスケア、生活必需品の投資比率が半分以上 2.手数料(Cost) 購入時手数料:  なし 信託報酬:  ※実質的な信託報酬率等(税込・年率)の概算値は年率1.56%±0.20%(税込) 信託財産留保額:  0.20% 組入ファンドの信託報酬: 実質コスト(第三期):  0.83%+(組入ファンドの信託報酬) 3.継続性(going-Concern) 信託期限:  無期限 信託期間の終了条件:  純資産額が10億円を下回った場合  または信託契約を解約するのがお客様にとって有利な場合、もしくはやむを得ない場合  ※現在の純資産が4.3億円です 4.純資産総額(Asset) 5.運用実績(Performance) 設定来の純資産総額の推移と運用成績: キャピタル・インターナショナル・グローバル・エクイティ  騰落率:8.9% TMA長期投資ファンド  騰落率:4.9% ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンドSA  騰落率:4.8% ニッポンコムジェスト・エマージングファンドSA  騰落率:8.4% コムジェスト・グロース・アメリカ  騰落率:3.3% 6.その他 運用報告書で第三期の相場環境と運用内容の説明はなされていますが、一般的な運用会社が作成しているような平凡な説明文であり、もっと受益者に向けて踏み込んだ説明や資料の提示を希望します。 また、月次レポートをリニューアルしてから顧客数の開示も止めてしまいましたが、運用報告書でも顧客数の開示を止めてしまったのは残念です。直販という事で、顧客と運用会社が直接コミュニケーションをとれる、説明も販売会社を通さずダイレクトに運用会社が伝えたいことを伝えられる環境にあるのにうまく生かしきれていないように感じます。 同じクローバー・アセットマネジメントのファンドでも浪花おふくろファンドの運用報告書(→こちら)は受益者に伝えたい事があるというのが読んでいてわかります。 まず、運用報告書の表紙にある「受益者のみなさまへ」を比較してみるだけでも明確です。 どうでもいい決まり文句しか書いていないかいたくファンドに対して、浪花おふくろファンドはしっかりと受益者にメッセージを発信しています。 また、浪花おふくろは直接販売状況という項目で顧客数、地域、積立比率、平均積立金額、セミナーなどの活動内容を書いているのにかいたくファンドにはそのような項目すらありません。 月次レポートでは顧客数などを非開示のひふみ投信も運用報告書ではしっかり直販の状況を記載しています。 昨年も同じような事を書いた気がしますが、かいたくファンドの運用報告書はまだまだ頑張りが足りません。 来季の運用報告書では改善されることを願います。 目論見書もユニオンファンドの目論見書(→こちら)と比較してしまうとまだまだ頑張れると思います。 月次レポートがリニューアルしてだいぶわかりやすく伝えようとしていただけに、今年の運用報告書には期待していたので残念でした。 辛口な事も書きましたが、運用そのものには満足していますし、今後も積立を続けていきます。 【関連HP】  かいたくファンド