コモディティへの資産配分を考える(2)
(前回) からの続き
コモディティへの資産配分はどの程度が適切なのかインターネット上の資料を探していたら、ピムコのHPに最適な資産配分(有効フロンティア)においてコモディティの資産配分はどの程度なのかイボットソンが調査した結果についてのレポートを見つけました。
(ボブ・グリア、イボットソン・アソシエイツによる分析、「戦略的資産配分と商品」について語る:PIMCO bondsより)
リンク先からダウンロードできるPDFファイルはマネックス資産設計ファンドや日興SMAなどでもアセットアロケーションの決定を担当してるイボットソンがピムコからの依頼でコモディティを含んだ場合と含まなかった場合の戦略的アセットアロケーションを調査したレポートです。(1970年〜2004年を対象)
それによると・・・
内藤さんのアセットアロケーションと同じくリスクを10%に抑えるアセットアロケーションをイボットソンが求めた結果は以下の通りです。(レポートの45ページ)
<商品を含まない最適資産配分>
米国短期債券・・・・・・3.89%
インフレ対応債・・・・・17.80%
米国債券・・・・・・・・8.31%
外国債券・・・・・・・・14.62%
米国株式・・・・・・・・36.79%
外国株式・・・・・・・・18.58%
予想リターン:8.83%
<商品を含む最適資産配分>
米国短期債券・・・・・・1.17%
インフレ対応債・・・・・7.21%
米国債券・・・・・・・・5.53%
外国債券・・・・・・・・7.80%
米国株式・・・・・・・・30.65%
外国株式・・・・・・・・22.05%
商品・・・・・・・・・・25.59%
予想リターン:9.48%
商品をアセットアロケーションに含めることで同じリスクでも予想リターンを押し上げる効果があることがわかります。
実は商品はこの全期間(1970年〜2004年)中のリターンが12.38%で上記7資産の中で最高だったのです。しかも、外国株式のリスク(22.45%)と比較して19.88%とリスクも若干控えめでした。(レポートの19ページ)
そして注目すべき点として米国株がマイナスになった8年間の算術リターン(リターンの合計値)が19.02%(ちなみに米国株は-12.28%、外国株は-11.49%)と株に対してかなり相性の良さを伺わせます。
米国株と米国債券の50%ずつのポートフォリオだったとしてもこのポートフォリオがマイナスの7年間の算術リターンが16.47%とやはり大幅なプラスです。
商品は相関係数もTIPS(0.41)と外国債券(0.15)を除くとマイナスの逆相関となっており、株や債券のポートフォリオに加えることによりかなり相性が良く分散投資ができそうです。
コモディティファンドの紹介で出てくる株、債券、商品に3等分投資した際の分散投資のグラフを今まで「こんなにコモディティに配分しないって」と小馬鹿にしてたところがありましたが、あながち間違いじゃないかもしれません。
ピムコのボブ・グリア氏は
イボットソンの調査レポートによると適度なリスクのポートフォリオにおいていずれもコモディティは11%を上回ったことから、お客様が実際にそれだけ配分するとは思えないが、ゼロでは低すぎる事を第三者の立場から証明したものだと記しています。
ちなみに、このエントリーの中で出てきた商品のリスクやリターンなどは複数の商品指数の平均値による複合インデックスの値だったりと細かい点で注意すべき点があります。
是非ピムコのサイトから元となったイボットソンのレポートを一読することをお勧めします。
こういったレポートを読んだこともあり、自分はコモディティへの投資配分を増やす予定です。(その分ヘッジファンドへの投資は減らします)