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"いい投資"探検日誌 from 新所沢の過去ログ#1(2003年7月〜2012年3月までの記事)

週刊東洋経済「投資信託嘘と本当」は記事に嘘と本当が混ざってる

今週号の週刊東洋経済は 投資信託「嘘」と「本当」と題して投資信託にスポットを当てた一大特集記事を掲載しています。 なかなかのボリュームですので読み込むのに時間がかかりましたが、この記事自体に「嘘」と「本当」が混ざっていて笑えない話です。 去年、週刊ダイヤモンドが「金融商品の罠」という特集を組んだ時に反響が大きかったのと、それをきっかけに投資信託に疑問を持つ人たちが増えてきたのを受けてとりあえず真似企画をしてみたというところでしょうか? 「投信の常識11のウソ?」という記事は題名にクエスチョンマークがついているだけあって正しい記事と誤った記事が混ざっています。 クイズなんだったら答えも書いておいてくれないと、間違う人が出ちゃいます。 ・長期投資は儲からない →過去19年だけ見て儲かっていないと断じているが、それであれば過去19年幅を複数調査して全体の傾向を出さないと意味がないです。長期投資はリターンがプラスになる可能性が高いのであって、必ずプラスになるとは言っていないはずです。 分散投資ではリスク分散できない?日本株と韓国、香港株との連動性を言ってみたり、アメリカとイギリスの連動性を言ってみたり、分散投資と呼ぶにはお粗末な例でリスク分散できないと言われてもそりゃそうだと言うしかありません。 最後に株の分散投資が従来程機能しなくなったので機関投資家の投資先として債券や不動産、商品に流れてると書いてますが、株と債券への分散は昔からの基本ですし、不動産だって結構昔から分散投資先としては使われてますよ。 ・環境ファンドに何を期待するのか? →これって題名からして何がウソのつもりなんでしょう?それに外資系の環境ファンドMSCIなどのベンチマークを無視しているので利益が狙えそうな企業に積極的に投資って言ってますが、ベンチマークは無視できないでしょ。 無視しているのはMSCIコクサイインデックスなどの株価指数であって、投信のベンチマークじゃありません。それに、環境ファンドがなんで総合インデックス株価を意識しながら銘柄選択しなくちゃいけないのか意味不明。せめてベンチマークとインデックスの違いくらいは勉強してから記事書いてくださいね。 ・ネット証券は実は手数料が高い?特定の投信の販売手数料を銀行、ネット証券、実店舗証券で比較したという情報の抽出からして恣意的な最悪な記事です。確かに中にはネット証券の方が高いのだってあります。 全体的な話をしないで個別の話をしだしたら、それこそ選んだファンドごとに結果が違います。 ・富裕層向け投信が低価格競争?ファンドラップが低価格競争ってのは最低投資額の低価格競争のことを指していて手数料でもないし、だからどうした?って話。最低投資額の引き下げで競争してるの?って話だったら競争してるんじゃないですか?ウソじゃない気がしますが。 ・バランス型ファンドの比率は理想的でない? →そりゃ、個人毎に組んだオーダーメイドじゃないし理想的ではないですよ。バランス型ファンド買うくらいなら自分で複数投信を組み合わせたらどうですか?っていう割と常識っぽいことを書いています。 コモディティは人気に陰り? →何がいいたいのか意味不明な記事です。最後にぼそっと海外の機関投資家コモディティの配分を低下させはじめたとの声も聞かれるというそれだけです。せめて事実を確認してから書いたらどうでしょうか? ・おらが町ファンドでは町おこしできない? →題名と違うことを書いていて、結局町おこしになるのかどうかは書かれていません。 国内株はさわかみファンド、海外はコムジェストのファンドに投資する点でどのファンドも似たり寄ったり。自分で組み合わせた方がコストは安いとこれまたよく聞く事を書いてます。 じゃあ、個人でコムジェストのファンド買うのはどうしたらいいの?というのは大人げないので言いませんが、同じ組み入れファンドだったら似た成績になるという批判には反論したいです。 よくみかける株と債券のバランスファンドで、株式30%と50%と70%ってのがあります。 FOFではなく、マザーファンド形式ですが組み入れるマザーファンドは3つのファンドとも一緒です。 さて、この3つのバランスファンドは同じリターンになるでしょうか? なるわけありませんよね。組み入れファンドは全く同じですが、比率が違います。 おらが町ファンドも組み入れファンドは似ていますが、投資比率も違いますし、組み入れタイミングも違います。確かにFOFなのでマザーファンド形式のバランスファンドよりもコストは高くなりますが、組み入れファンドが似ているからってどれも大差ないってことはありません。 そこら辺をちゃんとわかって欲しいなというのが僕の願いです。