先日僕のメインファンド「朝日Nvestグローバルバリュー株オープン(愛称:Avest-E)」が2,500円の分配金を出しました。
今年も多すぎだ!もっと分配金を少なくできないものか?と思ってはいたのですが実際にマネックスから分配金再投資の報告書が届いてそもそもこのファンドへの投資について再考してみる気になりました。
なぜか?
朝日Nvestグローバルバリュー株オープンの今年の分配金は2,500円、分配落ち後の基準価額が13,888円です。つまり分配金が分配前基準価額の15.3%相当出ているのです。
分配金への税金は10%が源泉徴収されます。3月初めの下落時に追加購入していた分があって全額に対して課税された訳ではなかったもののそれでも実に6万円以上もの税金を納めることになりました。
僕は分配金再投資コースにしているので税金を払った残りの金額は再投資されるのですが、結果として一夜にして6万円以上ものお金が本人の意志とは関係なく国と地方に税金として取られてしまったのです。
痛すぎです。
しかも、分配金への課税は近い将来20%に戻される予定です。そうなると分配金への課税が投資リターンに与える影響は単純に2倍になります。ってことは10万円を軽く超えてしまいます。・・・くらっ。
そんなに税金が引かれるなら分配金が少ない外国株式インデックスファンドの方が実は投資対象として優れているのでは?
そんな理由で比較をしてみることに。
まずは問題の「朝日Nvestグローバルバリュー株オープン」のリターンと分配金率を調べます。
※それぞれのファンドで決算日が違うので分かりやすくするためにリターンは1/1〜12/31まで、分配金は決算日が年前半の場合は前年に、決算日が年後半の場合は当該年のリターンに割り当てています。
朝日Nvestグローバルバリュー株オープン
年 | リターン | 分配金 | 分配金/基準価額 | 分配金/リターン |
2002年 | -13.8% | 0円 | 0% | 0% |
2003年 | 34.1% | 3,000円 | 18.5% | 54.2% |
2004年 | 13.4% | 2,000円 | 13.4% | 100% |
2005年 | 25.1% | 2,500円 | 15.2% | 61% |
2006年 | 25.2% | 2,500円 | 15.3% | 61% |
こうしてみるとこのファンドは基準価額の15%程度を分配する傾向があるようです。
また、利益が出た年はリターンの半分以上を分配していることがわかります。2004年に至っては全て分配しちゃってますし。
これは分配金への課税が現状の10%であれば投資金額の1.5%が税金として差し引かれる事を意味し、減税処置がなくなって20%課税されるようになると3%も税金として差し引かれ、その分投資リターンを下げる圧力になることを意味します。(もちろん毎年これだけの分配金を出すだけの成績は保証されてません)
次にノーロードで購入できる外国株式インデックスファンドとして人気の「ステートストリート外国株式インデックスファンド」の場合こうなります。
ステートストリート外国株式インデックスファンド
年 | リターン | 分配金 | 分配金/基準価額 | 分配金/リターン |
2002年 | -29.6% | 0円 | 0% | 0% |
2003年 | 17.2% | 0円 | 0% | 0% |
2004年 | 10.8% | 0円 | 0% | 0% |
2005年 | 21.9% | 200円 | 1.8% | 8.2% |
2006年 | 21.6% | 200円 | 1.5% | 6.9% |
単純にファンドのリターンを比較すると毎年確実に朝日Nvest〜の方が勝っています。
しかしステートストリートの場合、分配金の額をリターンの1.5%程度に抑えている上にリターンが20%に達しない場合は分配金をそもそも出していません。
そこで次に朝日Nvestとステートストリートの課税後リターンと比較してみました。
朝日Nvestグローバルバリュー株オープンとステートストリート外国株式インデックスファンドの分配金課税後リターン(分配金の10%課税の場合)
年 | 朝日Nvest | ステートストリート |
2002年 | -13.8% | -29.6% |
2003年 | 32.3% | 17.2% |
2004年 | 12.1% | 10.8% |
2005年 | 23.6% | 21.5% |
2006年 | 23.7% | 21.5% |
ちょっと差が縮まりました。
次に分配金に20%の税金がかかっていたとしたらという仮定で比較してみました。
朝日Nvestグローバルバリュー株オープンとステートストリート外国株式インデックスファンドの分配金課税後リターン(分配金の20%課税と仮定した場合)
年 | 朝日Nvest | ステートストリート |
2002年 | -13.8% | -29.6% |
2003年 | 30.4% | 17.2% |
2004年 | 10.7% | 10.8% |
2005年 | 22.1% | 21.5% |
2006年 | 22.1% | 21.5% |
両者の差がだいぶなくなっています。
後半の株価上昇局面ではかなりステートストリート外国株式インデックスファンドに肉薄してきますし、実際には税金を引かれることにより次年度の投資額も減少することになりますので、これ以上に朝日Nvestの投資リターンは押し下げられることになります。
税金恐るべし。改めてその怖さを実感しました。
ちなみにフィデリティ証券でも取り扱いを開始した「中央三井外国株式インデックスファンド」の場合はこうなります。
年 | リターン | 分配金 | 分配金/基準価額 | 分配金/リターン |
2002年 | -28.7% | 0円 | 0% | 0% |
2003年 | 17.3% | 0円 | 0% | 0% |
2004年 | 11.2% | 0円 | 0% | 0% |
2005年 | 21.8% | 30円 | 0.3% | 1.4% |
2006年 | 21.7% | 20円 | 0.1% | 0.5% |
こちらは更に分配金が抑えられていて効率的に投資できそうです。
マネックス証券で販売している「トヨタアセット・バンガード海外株式ファンド」は日本を除く先進国22カ国を投資対象としたステートストリートや中央三井とは違った形のインデックスファンドで、こちらは5%程エマージングマーケットへのインデックスファンドが含まれます。そのため、ちょっとリターンが前述の2つとは異なります。
年 | リターン | 分配金 | 分配金/基準価額 | 分配金/リターン |
2004年 | 10.8% | 150円 | 1.3% | 12% |
2005年 | 21.8% | 160円 | 1.1% | 5% |
2006年 | 21.7% | 未定 | 未定 | 未定 |
こちらはノーロードですが、中央三井よりは分配する方針のようです。
結論として、株価上昇局面では朝日Nvestグローバルバリュー株オープンがいかに良いリターンを出しても今のような分配方針を続ける限り、税金のせいでインデックスファンドと大差ないリターンに貶められる可能性が高いと言えそうです。
ただし、バリュー株投資の効果が発揮される株価下落局面や株価回復期にはバリュー株投資の方がリターンが優れているためインデックスファンド以上のリターンが期待できそうです。特に株価下落時はマイナスリターンになるので分配金が出ないと思われるのでその効果を存分に受けられます。
「朝日Nvestグローバルバリュー株オープン」はせっかくの優良ファンドなのに分配方針のせいでなんとも微妙なファンドになってますね。
将来的に分配金への課税基準が20%やそれ以上になった場合に備えて、一部はインデックスファンドに割り当てることも検討してみたいと思います。